いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が実際の事例をもとに解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の事例を編集したものです。プライバシーに配慮し、相談内容と変えている部分があります。

「売るわけないでしょ!」から一転。そのワケは…

■長男、「不動産の売却」を目論む

 

詳細を述べると、実家は都内23区・駅徒歩3分の商業地域内にありました。建ぺい率、容積率ともに良好で、多岐に渡った不動産活用ができる希少な物件です。実際、通常より高い価格での購入を希望する不動産業者もいました。

 

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ただヒロコさんは思い入れのある実家の売却には賛同できませんでした。

 

「兄の言いたいことはわかります。ただ…生まれ育った家なんです。『はいわかった売っちゃおうね』と即答できる話ではありません。ちょっと考える時間が必要で…」

 

そんな折、恐れていたことが起きました。

 

アキラさんはヒロコさんから買い取ろうとした実家の持ち分を、通常の取引価格と同等か、それよりも低い価格で買い取れるように、水面下で不動産業者と交渉していたことが判明したのです。

 

「そんな話聞いて、私が売るわけないでしょ⁉」

 

キレたヒロコさんでしたが、しばらくのうちに売却を決意します。その理由は…?

 

■兄弟姉妹の代襲相続は1回のみ可能(再代襲は×)

 

「売る・売らない」でも揉めているうちに、母の死後1年が経過しました。そんななか、ヒロコさんは「ある相続のルール」を知りました。代襲相続※です。

 

※ 代襲相続・・・本来相続人になる人が死亡などの理由で相続出来ない場合、その人の子どもが代わりに相続する制度

 

ヒロコさんは独身のため、残る親族(相続人)は長男のアキラさんのみになります。もしヒロコさんが先に他界した場合、財産はすべて長男に相続されてしまいます。

 

一方、アキラさんが先に他界し、次にヒロコさんが亡くなった場合はどうなるでしょうか。

 

このような場合、「相続人がいなくなった」…のではなく、アキラさんの子どもたちにヒロコさんの遺産が「代襲相続される」ことになるのです。

 

■嫌いな家族に遺産が相続されてしまうなら全部売っちゃいましょう

 

「お金や自宅などの財産を残しても、結局は長男や長男の子ども(甥姪)に相続されてしまう」ことを知ったヒロコさん。

次ページドロ沼相続の果てに、ヒロコさんが下した最終決定は…

本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年8月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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