いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の記事を再編集したものです。

所有不動産の相続税額「9,200万円」…母、どうする!?

<事例>

・神奈川県在住の田中さん(仮名):80歳女性

・長男:55歳 既婚/子供なし(飲食店を開業)

・次男:52歳 既婚/子供なし(会社員)

・三男:50歳 既婚/子供1人(15歳)(会社員)

 

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<田中さんの所有不動産>

・300坪の敷地(相続評価額1.5億円)

・自宅(築古木造2階建・相続評価額500万円)

・店舗(相続評価額500万円)長男が店舗を開業

 

上記不動産を含め、田中さんの相続財産合計4億円(借入れ1,000万円弱)。現状分析をしたところ、小規模宅地の特例などの特例を適用する前の相続税額はおよそ9,200万円。

 

 

自宅の敷地が300坪とかなり大きな土地ですが、そこに2棟の建物が立っていました。ひとつは長男が開業している店舗で、2階に長男夫婦が住んでいます。もうひとつは相談者である母・田中さんの自宅です。

 

なお、次男は結婚して都内に在住している会社員。三男も都内住みですが、近いうちに母の住む神奈川の実家で同居する予定でした。

 

こういった状況のなか、9,200万円もの相続税をできる限り抑えたい。最善策は何なのか? そんな内容のご相談でした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そこで提案した対策は、田中さんの自宅と長男が営む店舗を取り壊し、3億円(うち借入金2億円)をかけて3階建ての建物(※自宅兼店舗兼居住用賃貸)を建築して相続税を節税するという内容です。

 

<内訳>

・1階は長男の飲食店/もうひとつの貸し店舗

・2階は長男夫婦住居/賃貸用住居×4室

・3階は三男一家住居/賃貸用住居×4室

 

これによって、田中さんの相続税は約2,000万円まで減少しました。当初の相続税が約9,200万円でしたので、約4分の1まで抑えることに成功したのです。

 

細かな減額要素は割愛しますが、最大のポイントは、三男一家が同居予定だったため、将来田中さんの相続が発生した際に、三男に土地を相続させることによって「小規模宅地の特例が適用できる点」にあります。

次ページ適用条件は厳しいの?実は…

本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年12月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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