いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。相続発生後、まさかの事態が起きてしまったら? 今回は、相続した不動産が「事故物件」として扱われてしまった実例を、相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の事例を編集したものです。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

亡き長男の自宅を手放す…弟妹は決意したものの

今回は、相続により不動産を取得したものの、心理的瑕疵によって価値が下がってしまった事例を紹介します。

※心理的瑕疵(しんりてきかし)・・・物件そのものに瑕疵・欠陥があるわけではないが、過去に自殺があった/殺人現場になっていた/墓地等嫌悪施設が隣接していたなどを理由に、買い手・借り手が強い心理的抵抗を感じやすい条件があること。

 

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■今回の事例

 

Aさん・・・長男

Bさん・・・次男

Cさん・・・長女

 

一人暮らしの長男Aさん。自宅は当初両親が所有していましたが、父親も母親も他界したあとはAさんが単独で相続しました。

 

接している道路の拡幅計画による土地収用もあって、相続後、Aさんは自宅建物を取り壊し、自宅兼店舗を新築しました。店舗部分にはテナント(歯科医院)が入ったため、家賃収入を得ながら、何不自由ない生活を送っていました。

 

長女のCさんは、独身長男についてこう語ります。

 

「独り身でしたが、悠々自適に暮らしていました。家賃収入も相当な額でしたし。私と次男としても、母の介護を全部任せちゃっていたので申し訳ない気持ちもありました。母が亡くなって以降は重荷が下りたようで、趣味を楽しんでいる姿を見て、ちょっと安心していました」

 

しかし、突然の悲劇がAさんを襲います。医者から大腸がんと診断され、半年足らずで亡くなってしまったのです。享年70歳。あっという間の出来事でした。

 

遺された家族は次男のBさんと長女のCさん。Aさんの遺産は、神奈川県にある自宅(土地・建物)と現預金です。

 

現金はきっちり半分ということで、喧嘩にはなりませんでした。不動産は共同で所有(2分の1ずつ)することになっていましたが、葬儀直後、Cさんがおもむろに口を開きました。

次ページ売却を進めるはずが…きょうだい唖然の事態が発生!

本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年7月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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