いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の記事を再編集したものです。

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相続が発生すると一定範囲の親族は「相続人」という地位につきます。遺言が残っていない場合は、法定相続人がその法定相続分によって財産を引き継ぎます。

 

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つまり、自分の意思とは関係なく、被相続人の財産を受け継ぐ地位につくわけです。ただ、その財産が常に「プラス」の財産とは限りません。被相続人がマイナスの財産(多額の借金等)を抱えている場合もあるのです。

 

もちろん、マイナスの財産であろうと積極的に受け継ぎたい、という意思があれば話は別ですが、基本的には嫌なものですよね。

 

たとえば以下のような例です。

 

 

Aには、妻と2人の子どもがいる。Aは会社を営んでいたが、銀行から1,000万円を運転資金として借り入れていたほか、同業の知人Dの借入金2,000万円の連帯保証人となっていた。そのAが死亡した。

 

 

自分の意思とは関係なく、このマイナスの財産を受け継ぐ「地位」にはついてしまいます。いろいろな事情があるとはいえ、上記の例の財産は受け継ぎたくないものですね。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

さらに次の例はどうでしょうか?

 

 

Aには、妻と長男、次男がいる。妻と次男はAと同居していた。Aが死亡したが、次男がこの先母の面倒を見るのであれば、遺産を次男がすべて承継してもよいと妻と長男は考えている。

 

 

このように相続人が家族のことを慮(おもんぱか)って被相続人の財産を相続したくないと希望することもあります。

 

相続人の利害も関わってくるため、民法では、財産を受け継ぐ地位にはつくものの「強制的に被相続人の財産を帰属させる」という方法はとっておらず、相続するかどうかについて選択の余地を認めています。これが相続の「放棄」と「承認」という制度です。

 

民法では、相続人に一定の期間を設けて「相続放棄」「単純承認」「限定承認」の3つを選択できるようになっています。

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本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年11月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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