現役単身者から厚い支持、不動産取引も活発
■「荻窪」の人口構造
国勢調査を中心に、「荻窪」周辺の人口構造をみていきます。
「荻窪」のある杉並区の人口は56万人強。東京23区では6番目に人口の多い区です。世代別にみていくと、ほぼ23区と同じような人口構成をしています。「荻窪」周辺に限定すると、生産年齢人口が区平均よりも多く、15歳未満が少ない傾向にあります。JRに加え、地下鉄の始発駅、新宿へのアクセスも良好という利便性から、現役世代から支持されていると考えらえます(図表1)。
世帯の状況をみていくと、杉並区は23区平均と比べて、単身者世帯率が6ポイントほど高く、人口構造からも現役世代の1人暮らしが多いといえるでしょう。荻窪エリアでも同様の傾向があります。また高齢の単身者世帯も23区平均を上回っていることから、都内でも高齢化が進んでいるエリアであることがわかります(図表2)。
建物の所有状況をみていくと、杉並区は区平均よりも持ち家率が低く、「荻窪」周辺でも同様の傾向があることがわかります。単身の現役世代が多いエリアであることから、賃貸が優勢のエリアとなっています(図表3)。一方、5年定着率をみていくと、杉並区、「荻窪」周辺ともに、23区平均と同水準。単身者層が多い一方で、持ち家の層を中心に定住志向が強いエリアといえます(図表4)。
■不動産マーケットの状況
荻窪エリアの家賃相場をみていきます。駅距離別に1Kの平均家賃をみていくと、駅近では区の平均を4,000円ほど上回る水準ですが、駅から離れると区の平均を下回ります。杉並区のなかでは、駅距離によって家賃に影響があるエリアといえそうですが、下落率が90%ほどであることから、それほど気にする必要はなさそうです(図表5)。
次に中古マンションの取引価格をみていくと、荻窪周辺は杉並区の平均を5万円ほど、また東京都の平均を10万円ほど上回ります。荻窪は杉並区の中核のひとつであることから、高値で中古マンションが取り引きされています(図表6)。
過去5年間の荻窪エリアの中古マンションの取引件数をみていくと、四半期平均20件ほどの取引きがあり、活発な不動産取引きのあるエリアだといえます。新型コロナの影響が出始めた2020年第1四半期でも19件の取引きが成立。コロナ禍の影響がどれほどのものになるか、第2四半期、第3四半期に注目です(図表7)。