相続人である子どもに浪費癖があるような場合は、先祖伝来の大切な財産を失ってしまうかもしれません。そんなときは、子どもを飛ばして孫へ受け継がせることも可能です。本記事では「信託」の活用方法について、具体例とともに解説していきます。 ※書籍『資産運用と相続対策を両立する不動産信託入門』から一部を抜粋したものです。税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「障害を抱える我が子が心配でならないんです。」

次の事例となる家族の課題は次のとおりです。

 

 

Aさんは障害を持つ子ども、Cさんの先行きが心配でなりません。配偶者Bさんは昨年他界し、もう一人の子どもDさんはすでに独立しているため、Aさんが亡くなると、Cさんは1人で生活していかなければなりません。

 

日常の世話はこれまで同様、外部のサービスなどを利用するとしても、そもそもCさん1人でAさんの行っている不動産の経営、管理を続けることはできません。

 

そこで、Aさんは所有している賃貸用不動産を信託会社に信託し、自分亡き後はCさんが受益権を取得し、それによって生活ができるようにしたいと考えています。ただ、そのためには、Dさんの納得を得る必要があります。

 

Aさんは、Cさん亡き後の受益権をDさんに取得してもらうこととし、それで納得してもらおうと考えています。

 

■このケースで信託を利用するメリット

 

① Aさんが生存している間は不動産の管理を信託会社に任せることで、自分はCさんとの時間を大事にしながら、その面倒を見ることができるようになります。

 

② Aさんが死亡しても不動産の管理は信託会社が継続して担当するので、Cさんは管理その他について関与する必要はなく、従来通りの生活を送れます。

 

③ Cさん亡き後はDさんが受益権を取得するので、CさんとDさんの間でトラブルが発生する可能性が低くなります。もし、Cさん、Dさんの年齢があまり変わらないなどの事情があるようであれば、Dさんの子どもにも受益権を与えておいてもよいかもしれません。

次ページ信託を実行すると…

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『資産運用と相続対策を両立する不動産信託入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

編著 千賀 修一

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢の不動産オーナーなどは、老後の不動産管理や賃貸経営、そして相続に関して、さまざまな不安要素が生じてくるものです。不動産管理に関する知識がなかったり、あるいは財産を目当てとした思わぬトラブルなどが発生したりし…

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