「俺の金に頼るな」――お金を抱え込む78歳男性
Aさん(78歳・男性)は、一男二女に恵まれ、全員結婚。孫も次々と生まれ、家族一同が集まれば大人数になる“にぎやかな老後”のはずでした。しかし現実はその理想とは程遠く、家族から距離を置かれ、孤独に過ごしています。
資産は7,000万円。住宅ローンを完済した戸建てに一人暮らし。年金も月17万円ほど受給しており、経済的に困ることのない生活基盤があります。ところが、Aさんには大きな問題がありました。それは、年を取るごとにお金に固執するようになったことです。
家計を管理していた妻が5年前に亡くなり一人になったAさん。すると、徐々に「ケチなおじいさん」の本性が見えるようになりました。
子どもがAさんの様子を見に訪れると、「自分は現役時代に頑張ったから、これだけの資産を築けた」と自慢げに話す一方で、「いいか、俺の金に頼ろうとするなよ」とけん制します。孫も含めて外食に行っても、財布を開こうともしません。
決定的な亀裂を生んだ「長男の助言」
その程度であればよかったのですが、Aさんと子どもに決定的な亀裂が入る出来事が起きました。Aさんに万が一のことがあったらと、長男がこんな話をしたのです。
「父さん、念のためなんだけど。万が一のときのために、通帳の置き場所とか不動産、保険のこと、ざっくりでいいから教えておいてくれない? 相続のことで何か希望があるなら、書面に残しておいた方が安心かもしれないよ」
資産を多く持つ父。長男としてある程度のことを把握しておく義務があると考えた末での相談でした。
ところが、これにAさんは激怒。「まだ死ぬ気はないぞ。人の金をあてにしてるのか? なんて奴だ……」
このことをきっかけに、Aさんは子どもも孫も自分から遠ざけるようになったのです。
