新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

ターミナル駅は街としての新陳代謝が活発

ではなぜターミナル駅が人気なのでしょうか。複数路線が入り込むターミナル駅では、駅前には商業施設や公共施設、オフィスなどが集積し、昼夜を問わず一定の人々が出入りをします。

 

牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)
牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)

多くの人々が出入りすることは、街としての「新陳代謝」が活発であることを指します。駅周辺が単なるベッドタウンではなく、このように多くの人々が出入りすることで不動産取引が活発になるのです。

 

不動産は「出入り」が激しいエリアほど「値上がりする」といわれます。どういうことかというと、人が街にやってくると不動産を買ったり借りたりします。新しく入ってくる人は家具を買います。積極的に外に出て、街の探検を始めます。食事もします。買物もします。つまり街の消費活動が活発になるというわけです。

 

出ていく人がいて、入ってくる人がいる、この一定数の出入りは街全体の活力を維持するのに役立つのです。

 

最近、首都圏でも人気のマンションはターミナル駅周辺のタワーマンションだといわれるのは、こうした理由からです。

 

川崎市にある武蔵小杉駅周辺は、90年代初頭まではNECや富士通などの工場が立地する、住宅地としては必ずしも評価されない街でしたが、今や東急東横線、JR横須賀線、南武線が交錯する駅としてタワーマンションが林立し、マンション価格がうなぎ上りになる街として注目されるようになりました。

 

ここに住み、お洒落な物販店や美味しい飲食店をエンジョイする30代、40代の女性は「ムサコマダム」と呼ばれる憧れの存在となっているようです。

 

同様に、東京の目黒駅では2016年に分譲された大手デベロッパーの総戸数約600戸のタワマンが、坪当たり価格600万円超という、当時の周辺相場の1.5倍の値段で完売しました。目黒駅がJR山手線のほか、東急目黒線から東京メトロ南北線や都営地下鉄三田線に接続し、都心への利便性が飛躍的に向上したことも人気に拍車をかけました。

 

また従来の感覚からけっして「都心」とはいえないような「清澄白河」「押上」「北千住」といった東京の東部地区のターミナル駅周辺や、「立川」や「海老名」といった、郊外の中でもターミナルを形成している駅周辺のマンションで人気が高い傾向にあることが、最近の販売傾向からも窺い知ることができます。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

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