介護付き有料老人ホームとは何か
介護付き有料老人ホームの運用モデルは、特別養護老人ホーム(特養)と、一見ほとんど変わりはありません。このように説明すると、さらに混乱する読者もいるでしょう。そこで少しだけ、何が同じなのかを説明させていただきます。
介護保険法上は、介護付き有料老人ホームのことを「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた老人ホーム(事業所)といいます。ちなみに、「介護保険3施設」という概念があります。この中には特養は含まれていますが、介護付き有料老人ホームは含まれていません。
つまり、有料老人ホームとは、原則“介護施設”には分類されませんが、「特定施設入居者生活介護」という特別な指定を受けた場合に限って“介護付き有料老人ホーム”に進化し、介護保険3施設に準じた扱いになり、運営方法も介護保険3施設に準じた運営が認められる、ということになります。
わかりやすく解釈をするならば、一般的に高齢者のための介護施設といえば特養ですが、民間の有料老人ホームの中で、一定の要件を備え特別な指定を受けた場合に限り、特養に準じた扱いの“民間版特養”に進化(?)していくのだということになります。
具体的には、何が特養と同じ扱いになるのでしょうか。結論から申し上げると、介護報酬の扱い、取り方が原則同じ、ということになります。ちなみに、介護報酬の取り方が原則同じということは、介護施設としての運営方法も原則同じ、ということになるのです。
もちろん、厳密に言えば、さまざまな部分において特養と介護付き有料老人ホームは違いますが、ここでは、おおむね同じという表現をさせていただきます。
ご自宅で要介護認定を受けた高齢者が介護支援サービス(ホームヘルプサービス等)を受けた場合、受けた内容とその所要時間によって介護報酬は決まっていきます。そして、その積み重ね(出来高)で1カ月の総介護報酬が決まり、その総介護報酬のうち、1割から2割を個人が介護支援サービスの提供を受けた事業者に支払い、残りの8割から9割は国が事業者に対し、支払います。
なお、その介護報酬には、介護度(要支援1から要介護5までの区分があり、身体の状態に応じて行政が決定)に応じて限度額が決まっており、その限度額の中で、さまざまな介護支援サービスを組み合わせて受けることになります。