日本に「悪質な老人ホーム運営会社」がはびこる根本理由

いい老人ホームだと近所で評判だったのに、入居したら酷い目に遭った――。老人ホーム選びでは口コミがまるで頼りにならないのはなぜか。それは、そのホームに合うか合わないかは人によって全く違うから。複数の施設で介護の仕事をし、現在は日本最大級の老人ホーム紹介センター「みんかい」を運営する著者は、老人ホームのすべてを知る第一人者。その著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

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制度に振り回されている特養の悲劇

特別養護老人ホーム(以下「特養」)とは、高齢者に対するセーフティーネットである。何度も言いますが、これが私の特養に対する解釈です。平たく言えば、低額所得者や生活保護世帯の要介護状態の高齢者が、身体の状態が悪くなり自宅での生活に無理が生じた場合、最後に駆け込める施設が特養ということになります。

 

おそらく、数年前までは、この解釈でよかったと思います。

 

最後に駆け込める施設が特養だったはずだが。(※写真はイメージです/PIXTA)
最後に駆け込める施設が特養だったはずだが。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最近、「ユニットケア」というキーワードを聞いたことはないでしょうか?現在、新しく開設している特養の多くは、この「ユニットケア方式」の特養です。従来の特養について簡単に説明をしておきます。特養とは、元来、病院と同じ多床室で構成されています。

 

つまり、大きな部屋にベッドが4つ程度配置され、ベッドの周りにカーテンが張られている、病室と同じイメージです。当然トイレは部屋の中にはなく、廊下に共同トイレが設置されています。

 

食事や入浴は、建物内に配置されている大食堂や大浴室で、全員が同じ時間に集合して食べたり、曜日を決めて集団生活の中で一度に複数の入居者が入浴を行ないます。だからこそ、運営コストも安く抑えることができ、その結果、利用料金も安価に設定できるのです。このような低コスト運営が、多くの高齢者、特に所得の少ない高齢者が安心して入居することができる、特養の基本スキームだったのです。

 

つまり、けっして贅沢な暮らしはできないけれど、低所得の高齢者でも安心して入居することができる老人ホーム、という位置づけでした。

 

しかし、ユニットケアの場合、まるで真逆な現象が起きてしまっています。ユニットケアとは、老人ホーム内を10人程度の小ユニットに細分化し、ユニットごとに介護支援サービスを提供する方式のことを言います。当然、全室個室でありホームによっては、居室内に洗面所やトイレも完備されています。

 

たとえば100室の特養であれば、100室の個室が存在し、さらに10個のユニットがグループ化され、このユニットごとに食堂や浴室などを配置し、ユニット内ですべてを完結できるという介護方式になっています。

 

当然、10人という小さなグループごとに専属の介護職員が配置され、介護支援を受けることになるので、毎日決まった介護職員から個別事情に合わせた手厚い介護サービスを受けられます。Aさんはいつも朝寝坊なので、朝食は8時ではなく10時に食べますとか、Bさんは今まで夜入浴をしていたので、夕方の6時に入浴します。というような個別の介護支援が"売り"になるのです。

 

手厚い介護支援サービスが"できる"ということは、言い換えれば、多くの職員が必要になるということです。そして、その結果として運営費用が多くかかり、その運営費用は利用者が負担することを意味するのです。

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載実は知らない老人ホームの真実

誰も書かなかった老人ホーム

誰も書かなかった老人ホーム

小嶋 勝利

祥伝社新書

老人ホームに入ったほうがいいのか? 入るとすればどのホームがいいのか? そもそも老人ホームは種類が多すぎてどういう区別なのかわからない。お金をかければかけただけのことはあるのか? 老人ホームに合う人と合わない人が…

老人ホーム リアルな暮らし

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小嶋 勝利

祥伝社新書

今や、老人ホームは金持ちが入る特別な存在でななく、誰もが入居する可能性の高い、社会資本です。どうやって老人ホームを選んだらいいのか?それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営…

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