適正価格の修繕には、業者との信頼関係が必須
修繕費というコストもリスクになります。物件の老朽化などに伴い、修繕が必要となる箇所は、複数あります。
建物としては、外壁塗装、屋上防水加工、屋根の修繕、鉄部のメンテナンス、給排水管(水道設備)など、室内(各部屋)としては、エアコン、ガス給湯器、水回り設備、畳や壁紙の張り替えなどがあります。
こうした修繕は、問題が発生してから直す場合と、予防として対策を講じる場合とがあります。基本的な考え方としては、建物の価値に重大な損害をもたらすものについては、予防策を講じておき、そうでないものについては、空室リスクや家賃下落リスクに直結しない範囲のもの(私はほとんどが当てはまると思います)は対症療法、つまり問題が起きてから直したり、更新したりすればいいでしょう。
こうした修繕において大事なことは、どのような業者と、どのような付き合い方をしておけばいいかです。工務店やリフォーム会社に依頼することになるのですが、その際に適正な価格で行ってもらえるか、割高な請求書が届くのかは、業者やその業者との付き合い方次第だからです。
まず普段からすぐに連絡の取れる工務店は、2〜3社は持っておいたほうがいいでしょう。そのうえで、相見積もりを取ります。普段から付き合いのある業者と、新たな別の業者の2〜3社に相見積もりを取ることで、割高な見積書を見抜く目を持つのです。
先ほどの空室リスクの項目でも触れた管理会社や賃貸管理会社が修繕のノウハウを持っていますので、彼らの知見を活用するのも手です。彼らは工務店との付き合いも豊富ですので、紹介してもらう、アドバイスをもらうといったこともできます。
委託してしまえば楽ではありますが、まったく彼らの言うままでもよくありません。業者と癒着している可能性も否定できないからです。管理会社を利用する場合にも、きちんと相見積もりを取って、予防策を張るべきでしょう。
そして、信頼できる業者ができたら、電話一本ですぐ済むような人間関係を築いておくことも大切です。
1981年以前の建物は避けたほうがベター
新築の場合は別ですが、中古物件を検討する場合、修繕リスクを下げるためには、購入前にその物件が手のかかる建物なのかどうかを見極めることも大切です。
よくいわれるのが、耐震基準の法律が変わった1981年以前の建物は避けるべきだということ。確かにひとつの目安にはなりますが、杓子定規に1981年以前の建築物はダメで、1981年以降の建築物はOKだと考えてはいけません。
建物は一軒として同じものはないので、それぞれにチェックしなければわからないというふうに考えてください。といっても、建物の状態について、我々素人にはなかなか判断はつかないものです。
建物の状態のチェック箇所としては、基礎、外壁、屋根・屋上、ベランダ、天井・柱、床、内壁、配管、換気ダクト、外構など広範囲に及びます。本業のある皆さんが、これらを事細かく見ていくのは、少し的が外れているように感じます。
ひとつには修繕履歴をチェックすることで、多少はどのような状態なのかが全体としてイメージできます。そのうえで、ホームインスペクター(住宅診断士)という第三者に、建物の状態を見てもらうのはどうでしょうか。
無料の診断もあるようですが、ホームインスペクターは国家資格ではありませんので、その能力は玉石混交です。
心配なようでしたら、きちんとお金を払って質の高い診断を受けたほうがいいでしょう。目安は10万円程度のようです。
曽我 ゆみこ
化粧品会社経営
投資家