購入物件でチェックしておきたいミクロなリスク5つ
もうひとつは、ミクロなリスクです。つまり、皆さんが購入する物件が持つ特有のリスクともいえます。マクロなリスクに比べ、こちらは多くの対処法がありますが、ここではどのようなリスクがあるのかをまずは紹介していきます。
「空室リスク」……不動産投資における最大のリスクともいってもいいのが、この空室リスクです。その名前のとおり、購入した物件の部屋に借り手がつかず、空室のまま家賃収入が入ってこないことを指します。空室となる原因はたくさんありますが、そのエリアにそもそも需要がない、家賃が相場よりも高い、入居希望者に物件情報が届いていない、管理が悪いためネット上に悪評が書かれている、などがあります。
「修繕リスク」……修繕リスクは、言い換えれば老朽化リスクです。どのような建物にも寿命があり、少しずつ劣化していきます。思いのほかその劣化スピードが激しく、想定外の高額な修繕費用がかかると、赤字になってしまうケースもあります。特に中古物件を購入した場合、過去のオーナーがどのような修繕を行ってきたのかにも気を配る必要があるでしょう。
「家賃滞納リスク」……入居者が家賃を滞納するというリスクもあります。借り手が家賃を滞納する理由はさまざまで、解雇されてしまった、病気になってしまった、ルームシェアの相手が出ていってしまった、建物管理への不満などがあります。
「環境リスク」……物件の周囲の環境に変化が生じて、それによって住環境が悪化してしまうことがあります。それが環境リスクです。自分では何ともならない、ややマクロなリスクに近いかもしれません。環境の変化の要因としては、保育園・託児所、学校、病院、消防署、工場、高速道路、葬儀社、食肉加工工場、原子力施設、風俗店、パチンコ店、ゲームセンター、宗教施設、暴力団事務所、ホテル、ラーメン店や焼き鳥店、焼肉店といった匂いの強い飲食店などがあります。
「家賃下降リスク」……老朽化や市場の変化にともなって、家賃は減っていきます。基本的に地方になると、家賃下落率は大きくなります。
事前に賃貸需要をくまなくチェック
空室リスクを最小に抑えるには、需要を意識します。痒い所に手が届くような工夫をしても、そもそも賃貸需要がなければ、空室リスクは小さくなりません。
すでに物件探しのところでもお伝えしましたが、1都3県(埼玉、千葉、神奈川)の駅から徒歩圏内(理想は10分以内、ファミリー物件なら15分以内)を目安とします。
とはいえ、物件の特性によって賃貸需要は上下します。大学や専門学校が複数あるような学生街なら、ワンルームマンションの物件がよいかもしれません。同じ大学でも、学費が高かったり、お嬢様学校と呼ばれたりするような大学ならば、ワンルームアパートよりも、1Kや1DKの少しグレードの高いRCマンションのほうが需要は多いといえます。
もちろんファミリー層が多い地域ならば、2LDK以上のファミリータイプの物件に需要が多いでしょう。ファミリー層の需要が多いかどうかは、保育園や幼稚園の充実具合や小・中学校の評判なども気にするといいかもしれません。
たとえば東京都内には公立の小学校でも、名門と呼ばれる学校があります。こうした公立の学校は、通りが一本違うだけで校区が異なります。
また、空室を効率よく埋めるためには、管理会社や仲介業者、またその両方を兼ねた賃貸管理会社との付き合い方や選び方にもコツがあります。
ただ、皆さんに知ってもらいたいのは、いずれにしても空室は不動産経営について回るものということ。ですから、あらかじめ一定の確率で空室になることを見込んだ計画にする必要があるのです。