雑誌でよく見る…「有料老人ホームランキング」が無意味なワケ

いい老人ホームだと近所で評判だったのに、入居したら酷い目に遭った――。老人ホーム選びでは口コミがまるで頼りにならないのはなぜか。それは、そのホームに合うか合わないかは人によって全く違うから。複数の施設で介護の仕事をし、現在は日本最大級の老人ホーム紹介センター「みんかい」を運営する著者は、老人ホームのすべてを知る第一人者。その著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

なぜ有料老人ホームランキングは役立たないのか

正しい情報がまったく取れていないということが入居ミスマッチの大きな原因の一つだと、私は理解しています。一時期多くの雑誌で有料老人ホームランキングなるものが流行りました。

 

私は、ホームランキングには、否定的な立場をとっています。ホームランキングに対し否定的な立場をとっている専門家の多くは、現場経験者でもあります。多くのホームランキングは、いわばホームスペックのランキングです。自動車にたとえるなら、排気量とか馬力とか最高速度などの比較です。

 

多くの老人ホームランキングはホームスペックのランキングです。(※写真はイメージです/PIXTA)
多くの老人ホームランキングはホームスペックのランキングです。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、有料老人ホームが入居者の生活に影響力を与えている大部分は、ホーム長や介護職員といった人間の「質」のはずです。この人間の質を論じない限り、ホームランキングは無意味だということに、気がつかなければなりません。

 

私をはじめとするホームランキング無意味論者は、この事実を理解しています。だから「意味が無い」と言っているのです。老人ホームのことを自動車にたとえるなら、自家用車ではなく、バスやタクシーといった乗り合い自動車のイメージではないでしょうか。そして、この場合、どのようなバスやタクシーに乗りたいかというと、スペックのよいバスやタクシーではなく、当然安全に運転してくれる腕のいい運転手が運転するものでしょう。つまり、自動車自身のことよりも、それを運転する運転手の「腕」のほうが重要だということです。

 

入居を検討している高齢者やその家族にとって、一番重要な選択肢は「料金」と「立地」です。当然、これに関する判断は、必ずしも介護の専門知識を必要とはしません。

 

次に重要な選択肢は、いったい何でしょうか?多くの老人ホーム選びの初心者の場合、部屋の広さや食事の内容、付帯設備、提供されるサービスメニューなどに目がいきます。誰しも同じですが、部屋は狭いよりも広いほうがいいし、食事は厨房で資格のある調理人が作ってくれるほうが美味しいに決まっている。エアコンや洗面所、トイレが部屋にあるかどうかも、ないよりはあったほうがいいに決まっています。エレベーターだって、2階以上に部屋がある場合は、あったほうがいいはずです。

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載実は知らない老人ホームの真実

誰も書かなかった老人ホーム

誰も書かなかった老人ホーム

小嶋 勝利

祥伝社新書

老人ホームに入ったほうがいいのか? 入るとすればどのホームがいいのか? そもそも老人ホームは種類が多すぎてどういう区別なのかわからない。お金をかければかけただけのことはあるのか? 老人ホームに合う人と合わない人が…

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