選択肢の少ない人のほうが、上手くいっている
しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてください。これらの選択肢の多くは、実は介護実務がわからなくても判断することができるものなのです。私の考えでは、介護実務がわからなくても、物事の良し悪しを判断することができる「もの」は、老人ホーム選びにおいては「重要ではないもの」だと考えています。そして、これらの「もの」は、間違いなく利用料金に比例しています。つまり、「お金」さえあれば、どうにでもなるもの、お金で解決することができるものなのです。
「有料老人ホームの真実」などと書くと、何かとんでもないことが書かれているのではと思う方もいるかもしれませんが、実はそんなことではありません。
世の中には、経済的な理由から、老人ホームを選ぶことができない人も多く存在します。つまり、毎月支払うことができる予算が少ないので「このホームしかない」という人たちです。選ぶことができないので、そのホームにするしかないのですが、私の経験では、意外と入居後に不満はなく、上手く過ごしているケースが多いと思います。もちろん、選べないので「あきらめている」と言うかもしれませんが、住めば都とも言いますので、選択肢がそれほど多くない方のほうが、結果オーライなのかもわかりません。
それではなぜ、選択肢の多い人よりも選択肢の少ない人のほうが、上手くいっているのでしょうか。私は、選択肢の多い人は正しく老人ホームを選ぶことができないのでは?と考えています。情報が多く、有料老人ホームという選択肢も多く、さらに「帯に短し、襷に長し」という具合で決定的な決め手がない場合、候補ホームは3つぐらいまでは絞れますが、それから1つに絞り込むことは難しい作業だと思います。そして、その絞り込みの過程で間違いを起こすということになるのです。
老人ホームが提供するサービスの中で一番重要なサービスは、介護支援サービスです。それは、介護職員から直接提供されるサービスです。このサービスが自分の求めているサービスなのかどうかが、入居者にとっては一番重要なのです。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役