友人・知人の老人ホーム体験談を聞く悲劇
その代わり、世の中には、私の会社もそうですが、あなたと一緒に老人ホームを選んでくれる老人ホーム選びの助言会社(一般的には老人ホーム紹介センターという)の相談員がいます。わが社では「ホームを選ぶのではなく、その相談員を選んでください」と教えます。ちなみに、相談員の選び方は、あなたと同じ感性や価値観を持っているかどうか、相談員の言っていることに納得感があるかどうか、です。自分の気持ちに正直になり、「この人は自分と同じ人種だ」と感じる相談員を選ぶことが重要です。
私が勤務している「みんかい」の場合、業界最多数の相談員を揃え、何回でも相談員を替えて相談を繰り返し行なうことができるシステムになっています。相談内容に違和感を持ったら、相談員を替えることを当社の相談者には推奨しています。この一連の業務の中で、「この相談員は信頼できる」とか「自分と同じ感性がある」という確信が持てた場合、信頼できる相談員と出会えた場合、「その相談員が勧める老人ホームに黙って入居を決めてください」と伝えています。
つまり、老人ホームのことを正しく理解できない人は、自分の分身でもある相談員を見つけ、その相談員が真剣に勧めてくれるホームに何も考えずに素直に入居することが、失敗を軽減する唯一の方法論だと、私は確信しています。ちょっと聞きかじり、知ったつもりになって、自分で判断するという行為は、最悪の結果を導き出します。
老人ホームを選ぶためには、知識と経験が必要だということを、理解してほしいと思います。
最近では、多くの方が有料老人ホームに入居しているので、誰しも周囲を見渡すと「老人ホームに入居している人」に出くわします。親戚が入居しているとか、親戚の親戚が入居しているとか、会社の同僚や上司の親が入居しているとか、同じ町内会のAさんが入居しているとか、その例はさまざまです。
それらの方々から経験談や体験談を聞いて、それを鵜呑みにしている方のなんと多いことか。よくあるパターンは以下のような話です。「うちのおばあちゃんが入居しているBホームなんだけど。ご飯がまずくて食べられたものではないのよ」「介護職員がだらしなくてナースコールを押してもなかなか部屋に来てくれないの」「ホーム長がコロコロ替わって困っているのよ」など、挙げていけばきりがありません。
もちろん、この情報は正しい場合がほとんどです。しかし、この手の情報はあなたのホーム入居には、おおむね役には立ちません。この情報を聞いて、あなたは、Bホームはダメなホームなんだという評価をするはずですが、その評価自体、実は間違っていると、私は考えています。