
いい老人ホームだと近所で評判だったのに、入居したら酷い目に遭った――。老人ホーム選びでは口コミがまるで頼りにならないのはなぜか。それは、そのホームに合うか合わないかは人によって全く違うから。複数の施設で介護の仕事をし、現在は日本最大級の老人ホーム紹介センター「みんかい」を運営する著者は、老人ホームのすべてを知る第一人者。その著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。
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老人ホームで“入居ミスマッチ”が減らない理由
いつまで経っても入居ミスマッチは減っていません。むしろ、私の肌感覚では年々増えてきているような気がします。老人ホームに入居をしている高齢者の絶対数が増えているので、確率論から考えれば増えているのは当然のことと言えるのですが、長年、老人ホームの事業に携わってきた身としては、少なからず自身の無力さを感じています。
なぜ老人ホームのミスマッチは減らないのでしょうか?その答えは、正しい情報がないことと、正しい老人ホームの事実を知らない方が多すぎることによると、私は見ています。この2つの問題に焦点を絞り、考えていきます。

老人ホームに関する正しい情報を、読者の皆さんはどのように入手しているでしょうか?
老人ホームに関する情報入手の方法は、
(1)友人知人の老人ホームに関する経験談、体験談を聞く
(2)行政など公の機関から情報を入手する
(3)雑誌や本で情報を収集する
(4)セミナーや勉強会に参加する
(5)護関係者や医療関係者から情報を入手する
ということになるでしょう。そして多くの方は、自分には老人ホームは無縁であるという意識があると思います。つまり、他人事ということです。
私は仕事柄「良い老人ホームを紹介してほしい」とか「失敗しない老人ホームの選び方を教えてほしい」というリクエストを多くいただきますが、いつも質問者に対し、こう答えています。「失敗しない老人ホームの選び方をレクチャーするには、おおむね1年間の学習時間(毎週1回3時間程度)が必要になりますが、その時間の捻出はできますか」。多くの方はこの時点で「NO」です。これができなければ、老人ホームの詳細をレクチャーすることは不可能なので、老人ホームの選び方をマスターして「得」をしようという気持ちは捨ててください。