収益物件にとって重要なことは空室を減らさないで安定収益を得ることです。しかし多忙な医師にとって空室管理を含む様々な不動産管理業務をするのは非常に困難です。今回はそうした業務をどんな管理会社に任せればよいかを見ていきます。

優れた管理会社は「収支報告書」の質でわかる

一般的に管理業務と聞くと建物まわりの清掃など、日々のメンテナンスを思い浮かべる人が多いようですが、実はもっとも重要なのはできるだけ空室を出さないための活動、そして出た場合の入居者募集です。

 

収益物件は一度空室が出てしまうと、新たな入居者を見つけるのに労力もコストもかかります。管理会社としても空室分だけ手数料が入らないのは損失なので、一生懸命空室を出さないための活動や募集を行います。一方で、広告などのコストはオーナーの負担になります。つまりオーナーと管理会社は持ちつ持たれつ、WIN-WINの関係なのです。

 

この空室を出さないための活動、そして出た場合の入居者募集を確認すれば、その管理会社が優れているか否かの判断ができます。管理会社が空室を出さないために行う活動とは、たとえば毎月・毎年の収支報告があります。そこには家賃の回収状況や修繕の費用などが記された収支状況と同時に、会社によっては「○号室の△△さんが××の理由で退去します。立ち会いますか?」「○号室の△△さんがチワワを飼いはじめました。今のところ鳴き声などのクレームはありません」といった入居者の変化を詳細に報告するところもあります。

 

また、優れた管理会社の収支報告書ならば、より良い住環境にするための提案も欠かせません。内容としては耐震診断の勧め、地震保険加入の勧め、宅配BOXの設置、物置の設置など、住む人が喜んでくれるための提案があるかないかで入居率は大きく変わります。普段多忙なオーナーとしては満室状態が続くと、つい入居者満足度アップの工夫を忘れてしまいがちですが、このような提案があると検討するきっかけになります。

 

入居者の募集にも管理会社の手腕が発揮されます。不動産会社というとどこも同じような業務を行っているように思われがちですが、実は管理を主体、仲介を主体といったように得意分野があるケースがほとんどです。

 

管理会社はある程度の規模と担当者の質で選ぶ

管理会社はもちろん管理が得意。しかし、優れた会社はしっかり入居者も見つけてきます。そのわけは仲介を主体とする不動産会社にどれだけコネクションがあるか、です。より多くの仲介専門の不動産会社に対して自社管理物件を紹介して回るかが勝負の分かれ道なのです。

 

また、優れた不動産管理会社は経験が豊富です。選択する際の目安として管理物件1000戸は欲しいところでしょう。だからといって大手であれば安心というわけではありません。会社の規模と担当者のレベルはけっして比例しないからです。ある程度の規模の管理会社と分かったら、担当者のレベルをチェックしてください。基本は報告・連絡・相談(報・連・相)が徹底しているか、です。収益物件は管理体制が命といっても過言ではありません。もしダメだと判断すれば管理会社は後からいくらでも変更できるので、最高のパートナーシップを維持できるところが見つかるまで比較検討を続けるという手もあります。

 

収益物件を探すなら全国、または世界に目を向けるべきだ、と述べました。実際に私のクライアントの沖縄県に住む医師は、大阪府にいくつもの不動産を所有して十分すぎるくらいの収益を上げています。管理は管理会社がしっかり行い、定期的に状況を報告しているのでまったく問題ありません。さらにこの医師は、弊社と一括借り上げ契約を交わしているので、空室の心配をまったくすることなく本業に打ち込んでいます。

 

 

本連載は、2015年1月30日刊行の書籍『資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

旧来の医療体制が瓦解し始めた今、医師たち一人ひとりに求められているのは勤め先の病院に頼らない、自らの開業をも見据えた確固たる基盤づくりであり、なかでも最も重要なのは資産形成である。資産形成にはさまざまな方法があ…

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