法人化を急ぐ人は多いが・・・
今回は法人化のタイミングについてもお話ししていきます。
不動産に限らず事業を始める人の中には、何かと法人化を急ぐケースが多々見受けられます。まるで法人化ありきのようです。 確かに一つ事業を立ち上げたら、一国一城の主として法人化し、「代表取締役」となるのは気持ちいいかもしれません。しかも個人の所得税、住民税を合わせた最高税率は55%(2015年以降)ですが、法人税は25.5%(2014年末現在)なので税制上も法人にした方がメリットはありそうです。
また、法人化すれば経費以外にもクルマの購入費や接待交際費など、経費として認められる幅が広がります。つまり法人化したらしたで、別の節税の方法があります。 しかし、資産形成という意味では、すぐに法人化せずにタイミングを見定めるべきです。
そのおもな理由は2つ。
第一の理由は、最初の物件購入の前にすでに法人化してしまうと、法人としての実績がないので融資の審査が通りにくいことが挙げられます。目安としては法人化して2年から3年は黒字決算にしないと、ローンを通すのは難しいのが現状です。
第二の理由は、法人化すると収益に対する税金が所得税ではなく、法人税となるため、給与所得と合算できなくなるからです。これは前述の節税方法ができなくなることを意味します。
まずは収益を黒字にすることが法人化への第一歩
では、いつ法人化するのか?
それはやはり収益が黒字化してからです。
もちろん不動産運用は、家賃収入がローンの返済も含めて支出よりも多くなり、黒字になるのが大前提です。この前提がなければやる意味がないことは以前に説明しました。黒字になれば、給与所得と合算して節税対策をすることができなくなりますから、このときが法人化の一つのタイミングにはなります。
とはいえ、あくまでケース・バイ・ケースなので、法人化後の節税対策は事業パートナーまたは会計士、税理士とよく相談するべきです。