キャッシュレス決済の希望が現金を上回る
今後の決済方法について、“利用を増やしたい/今と同じくらい利用したい”の割合が最も高いのはクレジットカードで90%だった。次いで電子マネーが76%、QR・バーコード決済が64%であった。現金は、“利用を増やしたい/今と同じくらい利用したい”と“利用を減らしたい/利用したいとは思わない”に二分された。なお、キャッシュレス決済の一つではあるものの、デビットカードでは“利用を増やしたい/今と同じくらい利用したい”の割合は27%にとどまった。現金で“利用を増やしたい/今と同じくらい利用したい”と回答した顧客はクレジットカードの満足度が低い一方、クレジットカード、電子マネー、QR・バーコード決済といったキャッシュレス決済で“利用を増やしたい/今と同じくらい利用したい”と回答した顧客はキャッシュレス決済のメリットを理解しているものとみられ、総じて満足度が高いこともわかった。
キャッシュレス・ポイント還元事業は6月末で終了したものの、新型コロナウイルス感染拡大を受けて今後もネットショッピングの利用増加傾向が続くことが考えられ、現金での支払による感染リスクも意識されることから、脱現金・キャッシュレス決済の動きは加速していくものと考えられる。また、先月から申し込みを開始したマイナポイント事業 *では、登録できるのは一人につき一つの決済サービスとなっており、オンリーワンに選ばれるための取り組みを各社が競っている。クレジットカード各社においては、同業他社のみならず、他のキャッシュレス決済サービスを含めた競争が激化しており、その中でメインのキャッシュレス決済サービスに選ばれるための顧客満足に向けた一層の取り組みが求められる。
* マイナンバーカードを使って予約・申込を行い、選んだキャッシュレス決済サービスでチャージや買い物をすると、利用金額の25%分(一人あたり5,000円分が上限)のポイントがもらえる事業。(実施期間:2020年9⽉1⽇~2021年3⽉31⽇)
信頼度指数とブランドイメージを測定
本調査では、ブランドの信頼度やイメージについても聴取している。ブランドの信頼度において、「誰に対しても分け隔てすることなく公平に対応している」、「不手際があった際に責任を持って適切に対処をしている」、「顧客の期待に応えるサービスを提供している」という3項目が信頼度指数(トラストインデックス)に対して大きく影響していることがわかった。顧客のロイヤルティを高めるためには、顧客満足度の向上とともに、ブランドの信頼度やイメージの向上にも結び付けようとする視点が重要である。
「新型コロナウイルス感染拡大は人々の日常生活を大きく変えるとともに、決済方法についても変化を引き起こしていることが今回の調査で改めて確認できた。現金からクレジットカードなどへシフトする動きが明確であるが、中でも“非接触型”の決済方法のニーズがより高まることが考えられる。顧客が安心して決済サービスを利用できるようにするためには何が必要かというポイントは、ウィズ・コロナ時代ではセキュリティ以外に非接触などの新しい要素を含めて検討することが顧客満足度の観点から重要度が増してくるものと考えられる」
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤 希一