いい老人ホームだと近所で評判だったのに、入居したら酷い目に遭った――。老人ホーム選びでは口コミがまるで頼りにならないのはなぜか。それは、そのホームに合うか合わないかは人によって全く違うから。複数の施設で介護の仕事をし、現在は日本最大級の老人ホーム紹介センター「みんかい」を運営する著者は、老人ホームのすべてを知る第一人者。その著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

若いときから老後費用を準備することの重要性

私は現在50代ですが、この年になってもなかなか自分の高齢期に対する生活をイメージすることができません。ましてや、今の20代、30代の皆さんには、自分の高齢期のことなど想像することもできないと思います。当然ですが、来るか来ないかわからない自分の高齢期のことよりも、もっと目先のこと、つまり、今の仕事のことや家族のこと、場合によると自分の親のことで精一杯で、自分の老後のことまでかまってはいられない、というところでしょう。

 

しかし、私自身、自戒の念を込めて言わせてもらえれば、50代になった今、若い時から備えをしておく必要があったのではないかと、少しだけ後悔しています。読者の皆さんには、早めに備えをしておくことをお勧めします。そのためには情報の収集と理解が重要です。

 

収入が無くなった時点から貯えが亡くなる5年以内に死ぬのがいい。(※写真はイメージです/PIXTA)
収入が無くなった時点から貯えが亡くなる5年以内に死ぬのがいい。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

自分が65歳になって、会社人生を完了した後、どのように生きていけばよいのでしょうか? 2つの選択肢が常に頭をよぎります。1つは、収入を獲得することができなくなった場合、獲得できなくなった時点から5年程度で「死ぬ」ということ。もう1つは、開き直って、すべてを使い果たした後は「生活保護」を受けよう、ということ。

 

これからの時代は、今の高齢者と比べた場合、おそらく年金が半分以下になると思います。したがって、老後に必要な金額が仮に30万円だとした場合、半分以上は自助努力でなんとかしなければならないということになります。私にも多少の貯えもありますが、とうてい盤石な老後を送ることなどできる金額ではありません。

 

さらに子供もおりますが、自分の老後の生活について、子供の収入を当てにするということも考えられません。なぜなら、自分が高齢者になって、仕事もできない年齢になった場合は、当然、自分の子供にも子供ができ、学費などで多くの出費がかさむ時期だからです。

 

このあたりのことに思いを巡らせていると、私の頭の中は徐々に整理され、出した結論は……収入が無くなった時点から5年程度は蓄えで生活はできるが、それ以上は難しい。したがって、収入が無くなった時点から5年以内に死ぬという選択肢が一番賢明なことだと考えています。

 

最近、よく政府発信で「健康寿命」というキーワードが出ています。さらに、1億総活躍社会と称して働き方改革を行ない、どのような人でも、その人に合った働き方で所得を得ることが大切だ、とも言っています。

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