(1)【ご教授】
意味:専門的な技術や知識を教えてもらう、示してもらう時に使われる
〇 部長にご教授いただいたおかげで、一人前になれました。
× 部長に教えていただいたおかげで、一人前になれました。
教えてもらう相手への敬意が込められているか
◯の例は、専門家や知見を持っている人から、学問や技術を「教えてください」という場合に使います。×の「教えていただいた」でも丁寧な表現ですが、◯は教えてもらう内容(専門性)に対 しての尊敬の念も含めて伝えることができます。似た言葉の「ご教示」は、比較的簡単な手順や内容、方法や知識を教えてもらう時に使われる、知的な印象を与える言葉です。
(2)【折り入って】
意味:特別に、心を込めて人に相談、お願い事をする時に使われる
〇 折り入って、ご相談したいことがあるのですが、
× どうしても、お願いしたいことがあるのですが、
心を込めてお願いをする姿勢を示しているか
◯の例は、相手を信頼して「あなたではないとダメ」というお願いをしたい時に使われます。「これまで相手に頼んだことがない種類のお願い」をする際に、相手に対して真摯にお願いするような 言葉です。×の「どうしても」では、「自分の都合だけで頼んでいる」と受け取られる恐れもあります。「改めてお願いしたいことがございます」と言い換えてもよいでしょう。
(3)【伏して】
意味:平身低頭、相手に強くお願いする、お詫びする時に使う
〇 お時間をいただけますよう、伏してお願い申し上げます。
× お時間をいただけますよう、ぜひともお願い申し上げます。
相手に丁寧に強くお願いをしようとしているか
◯の例は、お願いの表現の中でも、とりわけ謹んでお願いする時の表現です。リクエストする内容の重大さ、後先がないくらいの切迫感のある時に適しています。逆に言うと、「伏して」は、重要なお願いではない時には使わないようにしましょう。過剰な表現になります。また「お時間を取らせてしまったことを、伏してお詫び申し上げます」と、心からお詫びする時にも使うことができます。
(4)【お骨折り】
意味:相手を立てつつ、自分に力を貸してくれるようにお願いすること
〇 合同事業のために、お骨折りをいただけないでしょうか。
× 合同事業のために、お手数ですが、お願いいたします。
相手の立場、気持ちになってお願いしているか
◯の例は、依頼をされた相手に「これから大変なこともある。頑張らなければならない」と前向きな気持ちになってもらうために適した伝え方です。目上の方にひと肌脱いでもらいたい時に、お願いする場合にもよいでしょう。一方、×の「お手数ですが」は、表現としては丁寧ですが、「どうしてもお願いしたい」という気持ちが伝わりにくい恐れもあります。
(5)【不躾なお願い】
意味:礼儀作法をわきまえない、無作法なお願いで恐れ入りますがという気持ちでお願いをする時に使われる
〇 不躾なお願いにもかかわらず、ご協力を感謝いたします。
× 唐突な依頼にもかかわらず、ご協力を感謝いたします。
こちらのお願いを聞いてもらう相手への配慮があるか
◯の例のように、相手にとって唐突だったり、厚かましいと感じられたりする可能性がある内容をお願いした時に使います。また、立ち入ったことを質問する時、自分の不手際で相手にお願いすることをお詫びするような場合にも、お詫びの気持ちを伝えることができます。×のように状況をストレートに伝えるのではなく、こちらの非礼を伝えながら真摯にお礼をしてみましょう