
日本語には、「損する言葉」と「得する言葉」の2種類がある。前者は幼稚で相手の配慮が不足しているイメージ、後者が知性や教養が溢れるイメージだ。「得する言葉」を使うことで、コミュニケーションが円滑になり、仕事や人生にも好影響と著者は語る。言葉遣いを変えるだけで好印象を与える「語彙」の数々を徹底解説。本連載は安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。
ユーモラスに物事を表現できる
意味:思ってもいなかったことや他人の誘いによって、よいほうに導かれることの例え
例文:自分に自信があったとしても、たまには「牛に引かれて善光寺参り」で、他人に委ねてみるのもいいかもしれない。
解説:人生や仕事は、何もかもが思いどおりになるようなものではないと思います。固定観念にとらわれることなく、常に新たな世界を探るようにすると、思わぬ成功を手に入れることができます。
(2)【禍福は糾(あざな)える縄の如し】
意味:災いが福になり、福が災いのものになったりして、この世の幸不幸は縄をより合わせたように表裏をなすものであること
例文:1回失敗したくらいで、そんなに悲観的にならないで! 禍福は糾える縄のごとし、次はきっとうまくいくよ。
解説:私も会社経営をしていると、いいことがあれば、その10倍、悪いことがあると腹をくくっています。だからこそ、絶望に陥ったり、慢心したりしなくなりました。心底実感していることわざです。
一つ加えるだけで重厚感を出せる
(3)【肝胆相(かんたんあい)照らす】
意味:お互いに心の底を打ち明けて話し合い、深い心のこもった交際をすること
例文:お互いいろいろあったが、彼とは肝胆相照らすような仲です。
解説:お互いにいいところも悪いところも知っている間柄で、特に悪い状況の時に助け合う経験がないと、このことわざを実感することは難しいかもしれません。そのような人間関係を少しずつ、築けるとよいでしょう。

(4)【獅子身中(しししんちゅう)の虫】
意味:味方でありながら、内部から災いをもたらす者や恩を仇で返す者の例え
例文:今回の新商品の情報は内部から漏れたらしい。これは獅子身中の虫だ。
解説:どんなに好ましい人でも、対外的によからぬことを言うのであれば、許すことはできません。そんな感情も含まれたことわざです。
(5)【紺屋(こうや)の白袴】
意味:他人のためにばかり働いて、自分のことに手が回らないこと。また、いつでもできると思い、何もしないでいることの例え
例文:仕事では経理をやっているのに、自分の家計の管理は全然ダメ。これって紺屋の白袴ですね。
解説:特に仕事は足元を見据えて、一歩一歩、着実に進めていかなければなりません。また、自分自身に対する客観性も大切です。
意味:白檀は発芽の頃から香気を放つ。大成する人は幼少の時から優れているという例え
例文:彼の並外れた才能を見ると、栴檀は双葉より芳しという言葉のとおりだと実感する。
解説:生まれながらの才能にあらがうことはできない、ということわざです。有無を言わせない強い表現になります。
安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授