意味:そうするより仕方がない。やむをえない
〇 「飲みに行かない?」。よんどころない理由でご一緒できません。
× 「飲みに行かない?」。すみません、ちょっと難しいです。
角が立たないように、やんわり断る配慮があるか
提案を断る時に、こちらに特に断る理由がない場合や、断る 理由を言いたくない時に使うとよい言葉です。忌引や病気などプライベートな理由で、相手に理由を明らかにしたくない時にも使うことができます。理由も言わないで断ってしまうと「理由も伝えないで断るのか」と角が立つこともありますが、○の表現を使うことで、相手もそれ以上、断った理由を詮索しなくなるでしょう。
意味:(受けたいのだけど)できない。(やりたいのはやまやまだけれども)できない。苦手なことを伝える表現
〇 (お酒の席で)不調法なものですから、申し訳ございません。
× (お酒の席で)苦手なので申し訳ございません。
角が立たずに断ることができるか
日本語は、同じことを伝える場合でも、使う言葉次第で相手に与える印象が大きく変わります。○の「無調法」には、「自分の非や、不慣れなことを認めている」というニュアンスが含まれているので、角が立ちにくい言葉です。相手に不快感を与えないで上手に受け流すことができると随分と楽になるかもしれません。
意味:能力に対して、責任や負担が重すぎること
〇 そのような重責は、私には荷が重い役割です。
× そのような重責は、私にはできません。
相手からの依頼に真摯に対応をしようとしているか
◯の例は、「経験が浅い」「知識がない」など具体的な理由があって、相手からの依頼に残念ながら応えることができないというニュアンスを含んで伝えることができます。また、実際にその役割を任せてもらったとしても自分では耐えられない、第三者から見ても、困難なことがわかるような状況で使います。「大役すぎる」という言葉で言い換えることもできます。
意味:申し訳ございません、私が望んでいることとは違いますが
〇 誠に不本意ですが、今回は辞退させていただきます。
× 私の考えとしては、今回は辞退させていただきます。
相手への思いやりがあるか
○は、相手の期待に沿うことができない結果を伝える場合に使う言葉です。「不本意」は、「〜は、私が望んでいることではないのですが」という意味です。本当はネガティブな感情を持っている 時でも、不本意な気持ちをスムーズに伝えることができれば、角が立ちません。ビジネスシーンでも大変役立ちます。×のように、ストレートに伝えるのは避けたほうがよいでしょう。
意味:相手からの誘いを断りつつ、前向きな気持ちを伝える定型的な言葉
〇 その日は都合がつきません。今度はぜひ、誘ってください。
× その日は都合がつきません。
お誘いを丁寧に断ろうとする気持ちがあるか
誘われた話を断る時に、丁寧に理由を伝えた後に○のように 続けることで、相手の気分を害することもなくなります。参加できない理由を細かく伝えなかったとしても、このように伝えることで、 断った理由を詮索されることもなくなります。「断ったら相手に失礼」といった思い込みや「嫌われたくない」という恐れがあるのか もしれませんが、相手の誘いを上手に断る言葉を覚えましょう。
安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授