日本語には、「損する言葉」と「得する言葉」の2種類がある。前者は幼稚で相手の配慮が不足しているイメージ、後者が知性や教養が溢れるイメージだ。「得する言葉」を使うことで、コミュニケーションが円滑になり、仕事や人生にも好影響と著者は語る。言葉遣いを変えるだけで好印象を与える「語彙」の数々を徹底解説。本連載は安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

リズミカルな語調が光る

(1)【衣食足りて礼節を知る】
意味:生活に事欠かなくなって人は初めて礼儀に心を向ける余裕ができること

 

例文:ボランティア活動したいのですが、もう少し仕事でちゃんと稼げるようになってからでないと。衣食足りて礼節を知るってことですよ。

 

解説:マズローの欲求5段階説のとおり、まずは生理的欲求から満たしていかないと次の段階に進めません。とにかく与えられた仕事に一生懸命取り組んで食べていけるようになり、人から評価されることに若いうちに取り組みましょう。

 

 

(2)【一言居士(いちげんこじ)​】

意味:何事にも、自分の意見をひとつ言わないと、気のすまない人

 

例文:課長は一言居士な性格から、いつも誰かとぶつかっている。

 

解説:発言は、内容があってこそするものです。そんな条件を満たさないで、思いつきで言う人を揶揄していう四字熟語です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)

(※写真はイメージです/PIXTA)

ものごとの本質を伝えられる

(3)【開闢以来(かいびゃくいらい)】

意味:天と地ができて以来、有史以来

 

例文:あの国で油田を掘り当てるとは、開闢以来の出来事だ。

 

解説:「一大事」という意味では強めの比喩が効きます。最上級の大ごとと言えるでしょう。例文ならば、とうてい油田など掘り当てられないような国で、発掘ができた場合に、この表現がぴったりと合います。

 

 

(4)【渇しても盗泉(とうせん)の水を飲まず】

意味:いくら苦しく困っていても、少しでも不正、不義に汚れることを嫌い身を慎むこと

 

例文:あの時は資金繰りに困り、本当に辛かったが、渇しても盗泉の水を飲まずと言うように悪事に手を染めるのではなく厳しい時を頑張って乗り越えられてよかった。

 

解説:自分を律することの大切さを意味しています。「我慢」よりも圧倒的なパワーを持っている言葉であると思います。

 

 

(5)【鶏口牛後(けいこうぎゅうご)】

意味:大きな集団や組織の末端にいるより、小さくてもよいから長となって重んじられるほうがよいということ

 

例文:鶏口牛後、私はベンチャーで頑張ります。

 

解説:現在では、牛後、つまり大きな組織であっても安泰ではなくなってきています。また、鶏口もそう簡単にはいきません。人の上に立つには全体を見渡す力がないとダメで、相応の実力をつけなければいけません。

 

 

(6)【巧言令色(こうげんれいしょく)鮮(すくな)し仁】
意味:言葉巧みで表情を取り繕っている人は、かえって人の心が欠けているものだということ。転じて言葉巧みな人には気をつけなさいという意味

 

例文:なにか、あの営業マンの話を聞いて怪しいと感じた。まさに巧言令色鮮し仁だ。

 

解説:プレゼンテーションや営業トークがうまい人はとても魅力的ですが、そのうまさと胡散臭さは紙一重であることもあります。口のうまさだけが全てではない、そんな価値観も感じさせることわざです。

 

 

安田 正

株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授

超一流 できる大人の語彙力

超一流 できる大人の語彙力

安田 正

プレジデント社

“損する言葉"と“得する言葉"。言葉づかいの選択で残念な人生を送っていませんか? この本は、普段、あなたが使っている言葉が“損する言葉"であるか“得する言葉"であるか、ひと目で判断できる! そのような内容になっていま…

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