日本語には、「損する言葉」と「得する言葉」の2種類がある。前者は幼稚で相手の配慮が不足しているイメージ、後者が知性や教養が溢れるイメージだ。「得する言葉」を使うことで、コミュニケーションが円滑になり、仕事や人生にも好影響と著者は語る。言葉遣いを変えるだけで好印象を与える「語彙」の数々を徹底解説。本連載は安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

 

(1)【分水嶺】
意味:物事の方向性が分かれ目

 

 あの時の先生との出会いが分水嶺となった。

× あの時の先生との出会いが分かれ目だった。

大きな影響をもたらすターニングポイントかどうか

◯の例は、ちょっとした選択ではなく、ほかの選択肢では大きなゴールにはいけない、ほかは何をやってもダメという人生、仕事の大きな分かれ目のことです。一方、×の例は、単に原因と結果を表し、その条件のことを言っています。

 

 

(2)【上意下達​】

意味:組織や団体において、上位・上層の命令や言辞を下位・下層へと伝えて、意思の疎通を図ること

 

 プロジェクトは上意下達で進めます。

× プロジェクトは、上からの指示で進めます。

指示系統が明確になっていることが伝わるかどうか

◯の例は、組織において上からの指示系統が明らかにあることを表現しています。また「上層部の意見を組織の中で徹底させる」という表現にもなります。一方、×の例は、ふわっとしていて、上とは、一体誰のことを示しているのかわかりづらく、曖昧です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

(3)【勘案する】

意味:いろいろ考え合わせる。全てを調べてからよく考えること

 

 今の状況を勘案すると、今回の計画変更は仕方ない。

× 今の状況を考えると、今回の計画変更は仕方ない。

客観的考えが含まれているかどうか

◯の例は、いろいろな面から観察してみると結論はこうなるという、客観性のある表現です。様々な条件を視野に入れて判断する、という場合に使います。一方、×の例は、あくまでも自分だけの考え、主観的なニュアンスになります。

次ページどうしようもないというニュアンスが伝わるかどうか
超一流 できる大人の語彙力

超一流 できる大人の語彙力

安田 正

プレジデント社

“損する言葉"と“得する言葉"。言葉づかいの選択で残念な人生を送っていませんか? この本は、普段、あなたが使っている言葉が“損する言葉"であるか“得する言葉"であるか、ひと目で判断できる! そのような内容になっていま…

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