どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、小田急電鉄小田急線の「経堂」。

 

そんな経堂ですが、住民やこの街に精通する人以外が街に足を踏み入れると、出ることはできない……という事象が後を絶たないことから「経堂迷宮」というワードが生まれました。「タクシーで経堂に向かうよう伝えるとドライバーの顔が曇る」という笑い話はこの街の定番で、とにかく駅周辺の道路事情は、お世辞にも良いとはいえません。

 

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街は道幅の広い幹線道度から離れ、そこから駅へと向かう道は、細く曲がりくねって入り組んでいます。さらに一方通行も多いというおまけつき。また郊外の住宅地にありがちな、どこを通っても似たような路地で、どこを通っても既視感を覚えます。そんな道路事情がゆえ、迷宮と称されているのです。

 

空から見た「経堂」駅周辺。細い路地が入り組んでいる
空から見た「経堂」駅周辺。細い路地が入り組んでいる

家賃水準も、買い物も、飲食も、長所しか見当たらない

都会のラビリンスともいうべき「経堂」は単身の会社員の居住地としてはどうでしょうか。駅周辺の家賃相場を見ていきます。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は6.54万円、11分を超えると6.93万円(図表1)。駅を離れると、築浅の物件や専有面積の広い物件が多くなり、家賃水準の逆転が起こっています。同条件の東京都世田谷区の家賃水準は、駅10分圏内7.13万円、11分を超えると6.53万円。「経堂」駅周辺の家賃相場は、駅チカで世田谷区平均を下回り、駅から離れた地域では、区の平均を上回っています。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(8月11日時点) ※単位は万円
[図表1]「経堂」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(8月11日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

「経堂」駅周辺の家賃相場は、20代会社員でも十分検討できる水準です。大手検索ポータルサイトで、20代会社員の適正家賃内、徒歩10分圏内を条件で検索してみると、多くの単身者向け物件が見つかります。条件にヒットする物件の半数は築30年以上の築古物件で、新築や築5年以内の築浅物件はほぼ見られません。駅周辺は新築物件の供給数が少ないエリアなので、築年数にこだわるのであれば、範囲を広げる必要があります。

 

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