どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、JR横須賀線等の「西大井」。

JR線単独の駅だが、地域として見てみると…

「西大井」は東京都品川区に位置する、JR横須賀線、湘南新宿ライン相鉄線直通を利用できる駅です。1日の乗車数は1.6万人程度と、東京都区内のJRの駅でも利用客の少ない駅として知られています。

 

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駅の開業は1986年。都内でも開業年の新しい駅です。線路の正式名称は品鶴線で、1929年に開設した「品川」と「鶴見」を結ぶ路線です。長い間、貨物線として運用されてきましたが、1980年に旅客線化。横須賀・総武快速線電車が走るようになりました。2001年には湘南新宿ラインが運行を始め、2019年には相鉄・JR直通線が運行をスタート。埼京線と直通運転を行っています。

 

前述のとおり、利用客数が少ないうえ、湘南新宿ラインでは快速が通過することもあり、都内JR駅のなかでも存在感の薄い駅といえるでしょう。駅の改札は東側にひとつで、ロータリーを囲むように高層マンションが建つほかは、閑静な住宅街が広がる地域です。目立ったランドマークや立ち寄りスポットもありません。

 

駅単体で見ると地味だと言われても仕方ありませんが、地域を俯瞰してみると、見方は大きく変わります。

 

地図で「西大井」駅を中心に据えると、周辺に複数の鉄道路線が走り、複数の駅があることに気づくでしょう。東急電鉄大井町線、JR京浜東北線「大井町」18分、大井町線「下神明」13分、同線「戸越公園」13分、同線「中延」15分、同線「荏原町」18分、東急池上線「荏原中延」21分、同線「旗の台」25分、都営地下鉄浅草線「馬込」徒歩16分、京浜東北線「大森」23分、京急急行電鉄本線「立会川」24分。実に5線10駅が徒歩でアクセス可能。山手線外でこれほど鉄道網が発達している地域はなかなかありません。

 

駅周辺は、もともと郊外の農村でしたが、明治時代後期から大正時代にかけて市街地化。山手線外では比較的古い住宅街です。大正時代から昭和時代初期には工場が進出。現在でも駅を取り囲むように、多くの工場や研究所が残っています。一方で、古い住宅街であるがゆえ、木造住宅の密集が顕著で、その解消が問題となっていました。現在、駅西側の二葉3〜4丁目、西大井6丁目地区では、密集住宅市街地整備促進事業が進行中で、防災力が強化されています。

 

埼京線で試運転する、相鉄12000系
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次ページほどほどの買い物環境、外食派には物足りない街だが…

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