本記事は、人材育成・組織行動調査のコンサルタント西村直哉著『世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    日本人の会議が長引く「本当の理由」

    ハイコンテクストとローコンテクストは、ハイ(高)とロー(低)の名前がついていますが、それらはコンテクストの多寡(たか)を表すものであっげ、優劣を示すものではありません。どちらが良い悪いではなく、ただ文化によって表現方法に違いがあるということです。

     

    ありていにいえば、ハイコンテクストの文化は「聞き手中心主義」のコニュニケーションといえます。

     

    ハイコンテクストのコミュニケーションでは、言葉による説明が少ないために、どのように理解するかは聞き手次第になりますから、コニュニケーションの責任は聞き手に委ねられます。そのため、日本では十分な説明をしなかったとしても、理解できない相手のほうを「分からんやつだ」と責める傾向があるのです。

     

    ハイコンテクストの文化では、聞き手はコミュニケーションに参加する前にその集団における明示されないルールを情報収集し、場の空気を読むことに専念しなければなりません。

     

    日本では初対面の人同士で話し合うときに、時候のあいさつなどを交わしながらその場のルールを探り合わねばなりません。そこでは、単刀直入な話は好まれません。会議が長引くのはそのためです。皆がどのような結末を望んでいるかの空気を読んで、予定調和の結末に持っていかねばなりません。

    「上司より先に帰ってはならない」の終焉!?

    一方、ローコンテクストの文化は「話し手中心主義」です。どれだけ丁寧に言葉を尽くして相手に理解させるかが問われるので、コミュニケーションが伝わらなかった場合の責任は話し手にあります。相手が理解できなかった場合は、話し手の表現が悪かったのであり、聞き手が責められることはありません。

     

    話し手は自分の意思をはっきりさせねばなりませんし、相手が理解したかどうかをきちんと確認する必要があります。「言わなくても分かると思っていたのに」は通用しませんから、自分の発言や言動にはしっかりと責任を取ることになります。

     

    たとえば日本では会社に電話をかけて「Aさんはいますか?」と言えば、それだけでAさんに取り次いでもらえます。しかし英語ではそのような場合、通常は「Aさんと話せますか?」と表現します。どちらも慣用句ですが、もしも日本文化に馴染みのない人が電話を取った場合、何を要求されているのか戸惑うかもしれません。

     

    グローバル化時代を迎えて、日本でもハイコンテクストな表現がだんだんと通じなくなってきました。たとえば、ホールが1960年代に体験した日本のホテルの無断の部屋替えも、現代の日本では起こりにくいことだと思います。会社組織においても「上司より先に帰ってはならない」とか「先輩が有給休暇を申請するまでは、後輩は申請してはならない」とか「残業時間が法定時間を超えたらサービス残業にする」とか、そのような価値観が残っていたとしても、「分かっているよな」で言外に強制されることは少なくなってきたように思います。

     

    ハイコンテクストの表現を理解するためには、その場で発せられる言語以外にもさまざまな情報を持っていなければならないため、子どもや外国人などの異文化人に優しくないのです。そのため、最近はおおやけに使われることは少なくなってきました。

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    世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント

    世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント

    西村 直哉,江波戸 赳夫

    幻冬舎メディアコンサルティング

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