都内有数の地味な駅「西大井」実は、ものすごく便利な街だった

ほどほどの買い物環境、外食派には物足りない街だが…

「西大井」周辺は、単身の会社員の居住地としてはどうでしょうか。駅周辺の家賃相場をみていきましょう。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は8.30万円、11分を超えると6.45万円（図表1）。同条件の東京都品川区の家賃水準は、駅10分圏内8.53万円、11分を超えると7.39万円。「西大井」駅周辺の家賃相場は、駅周辺では区平均より若干安く、駅から離れるとさらにその差は広がります。

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［図表1］「西大井」駅周辺の平均家賃 出所：公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ（8月11日時点）
※単位は万円

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25～29歳で27.5万円、30～34歳で34.1万円です（図表2）。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

［図表2］20代後半、30代前半の平均月給 出所：厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

「西大井」駅周辺の家賃相場は、20代会社員の適正家賃は超えますが、30代会社員であれば適正家賃内となる水準です。大手検索ポータルサイトで、30代会社員の適正家賃内、徒歩10分圏内を条件で検索してみると、多くの単身者向け物件が見つかります。築古の低層の建物が目につくエリアですが、条件内の1割程度は、新築を含む築5年以内の物件。しかし15㎡ほどの少々手狭な物件が多く、専有面積を確保した物件を望むなら、家賃の条件をゆるくする必要がありそうです。

交通面はどうでしょうか。「品川」5分、「東京」13分、「渋谷」10分、「新宿」15分、「横浜」17分（所要時間は「西大井」を平日8時に出発した場合の目安）。都心方面はもちろん、山手線西側の主要エリアにもリーチできるのは魅力。ただし、「新宿」方面の湘南新宿ラインは7時台は2本、8時台は4本、相鉄線直通は7時台3本、8時台4本。「東京」方面の横須賀線は7時台、8時台ともに9本と、23区内のJRの駅としては電車本数が少ない印象。評価の分かれるところです。

次に買い物環境を見ていきます。駅周辺にあるスーパーは「マルエツプチ」「文化堂」「まいばすけっと」と、小規模なショップが中心ですが、深夜営業や24時間営業を行っています。また駅前に大手ドラッグストアチェーン店もあり、何かと重宝するでしょう。

飲食店はどうでしょうか。駅周辺にある大手飲食チェーン店は、ファストフード店が1店、牛丼店が1店、定食店が1店と、選択肢は多くありません。地域密着型の個店もありますが、それほど数は多くないので、「西大井」は自炊派の人に向いている街といえそうです。

「西大井」駅周辺は、単身者には十分な買い物環境が揃っている一方、食のスポットは少々物足りないと感じる駅です。しかし前出の通り、「西大井」を語る際、駅単体で見ると正しい評価はできません。広域で捉えると、5線10駅が利用できる立地は、不測の事態を回避するのに便利であり、徒歩圏内である「大森」や「大井町」を利用すれば、買い物や外食の幅はぐっと広がります。シーンに合わせて、近隣の街を使いこなすことができれば、「西大井」での生活をさらに充実させることができるでしょう。

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