遺族の心に届かなければ、遺言書を書いたところで…
日頃から感謝の気持ちを伝えたり、自分の考えや意向を話したりしていれば、遺言書など本来は必要ないはずなのです。遺族の心にご主人の想いが届いていれば、その意を汲くんで〝万事よきように〟やってくれることでしょう。逆にいえば、遺族の心に届かなければ、いくら遺言書を書いても無視され、希望通りには実行されない可能性が高いです。
生きているうちにやれるだけのことはやり、後は遺族を信じてお任せするというのが、死にゆく者の最もスマートな旅立ち方ではないでしょうか。奥様には、ご主人が思い残すことなく子らに想いを伝え、安心して旅立てるようにコミュニケーションの場をつくってあげていただけたらと思います。
たとえばの一例ですが、私自身が実践していることでいえば、月に一度は家族で食事会をするのを習慣化しています。息子たちは2人とも結婚していますが、お嫁さんや孫たちも一緒に全員で食事をし、お互いの近況報告をし合っています。民法上、お嫁さんやお婿さんには相続権はありませんが、実際の相続になるとその存在は無視できません。
先ほどの二女の旦那さんのように、マイナスの関わりをしてくるケースもないとは限りません。ですから、息子たちだけでなく、その家族も含めてコミュニケーションを密にしておくことが大事だと思っています。