遺産相続において、「遺言書」は強力な効力を持ちます。「死後、財産のことで争う姿なんて見たくない……」と考えて遺言書を記したはずが、思わぬ事態が発生してしまうケースも。本記事では、相続・事業(医業)承継コーディネーターの芹澤貴美子氏の書籍『開業医の相続対策は「奥様」がやりましょう』より一部を抜粋し、遺言書によって姉妹の仲が悪化してしまった事例を紹介します。

遺族の心に届かなければ、遺言書を書いたところで…

日頃から感謝の気持ちを伝えたり、自分の考えや意向を話したりしていれば、遺言書など本来は必要ないはずなのです。遺族の心にご主人の想いが届いていれば、その意を汲くんで〝万事よきように〟やってくれることでしょう。逆にいえば、遺族の心に届かなければ、いくら遺言書を書いても無視され、希望通りには実行されない可能性が高いです。

 

生きているうちにやれるだけのことはやり、後は遺族を信じてお任せするというのが、死にゆく者の最もスマートな旅立ち方ではないでしょうか。奥様には、ご主人が思い残すことなく子らに想いを伝え、安心して旅立てるようにコミュニケーションの場をつくってあげていただけたらと思います。

 

たとえばの一例ですが、私自身が実践していることでいえば、月に一度は家族で食事会をするのを習慣化しています。息子たちは2人とも結婚していますが、お嫁さんや孫たちも一緒に全員で食事をし、お互いの近況報告をし合っています。民法上、お嫁さんやお婿さんには相続権はありませんが、実際の相続になるとその存在は無視できません。

 

先ほどの二女の旦那さんのように、マイナスの関わりをしてくるケースもないとは限りません。ですから、息子たちだけでなく、その家族も含めてコミュニケーションを密にしておくことが大事だと思っています。

開業医の相続対策は 「奥様」がやりましょう

開業医の相続対策は 「奥様」がやりましょう

芹澤 貴美子

幻冬舎メディアコンサルティング

開業医は、今、目の前にいる患者さんの命と健康を預かる、専門的な職業です。新しい医療技術のこと、新薬のことなど、たくさんの情報を常に仕入れていなくては務まりません。なかなかお金の知識を得るための時間はないのが現実…

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