経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

本当の「空き家大国」は東京都という現実

1つ目は地方都市のケースが多いだろう。人口減少が進み、公共インフラも不十分な状況になると、そこに住む理由がなくなってしまうからだ。

 

2つ目は、大都市圏でも起こり得るケースで、両親との同居という選択をしなかった場合、子供たちはそれぞれ別の住まいを構えるため、両親が亡くなった後、空き家になった実家の処理に困り、放置してしまう。場所によっては第三者に貸すという方法もあるが、リフォームなどをしないと貸せる状態にはならず、投資コストを考えると二の足を踏むケースだ。もちろん、売却する道もあるが、生まれ育った実家を売却することに抵抗があったり、実際売りに出しても買い手が現れなかったり、という状況にあるようだ。

 

3つ目は、相続でもめて共有になってしまって売却ができなかったり、借地で地主と折り合いが つかず、そのままになっていたりというケースである。

 

活用も売却もなかなか進まない空き家は、所有者にとってはいわばお荷物。だが、家主業を始めようという人にとっては、この戸建ての空き家も宝物となる可能性がある。「戸建て賃貸」として貸し出すことを考えれば、工夫次第で「お金のなる木」に変えることができるからだ。

 

実際、築年数の古い郊外の戸建てを購入し、家主業だけで余裕のある生活ができる人は、私の身近だけでも少なからずいる。彼らはこんな場所に賃貸需要があるのか、と思うような場所の戸建てを購入し、入居者を募集して契約し家賃収入を得ている。

 

詳細は後述するが、例えば、首都圏であれば千葉県の外房エリアで、都心まで出るには電車で1時間半ほどかかるような場所。だが、そんなエリアでも、趣味がサーフィンという 20 代、 30 代の人が入居者として見込めるという。当然、家賃は都心近郊よりも安いが、取得額も安いので収益性が高くなるケースは割とある。

 

空き家すべてを宝物に変えることができるわけではないが、賃貸需要があるエリアにも空き家はあるようだ。

 

ここで意外な調査結果を紹介しよう。先に紹介した「平成30年住宅・土地統計調査」に空き家率の高い都道府県ランキングと、低い都道府県ランキングが紹介されている。空き家率が最も高いのは山梨県で21・3%、2位が和歌山県で3位が長野県。空き家率が最も低いのは、埼玉県と沖縄県が同率で10・2%、3位が東京だった。

 

だが、この空き家率に惑わされてはいけない。 都道府県別空き家数を見てほしい。全国で最も空き家数が多いのは、なんと東京だ。空き家率が最も高い山梨が9万戸なのに対し、東京は80万戸もある。本当の「空き家大国」は東京なのだ。東京に空き家という名の宝物が眠っているといえるだろう。

 

東京に限らず、住宅総数の多い神奈川県には48万戸、千葉県38万戸、埼玉県34万戸、大阪府70万戸、愛知県39万戸と、多くの空き家がある。空き家には大いにチャンスがあるといえるだろう。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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