息子娘「ヤバい」で済まない「リバースモーゲージ」の落とし穴

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

自宅を現金に替えて生活資金を捻出

最近、「リバースモーゲージ」という言葉をテレビコマーシャルなどで耳にする方が多いのではないだろうか。リバースモーゲージとは自宅等の不動産を担保に、極度額を設定し、極度額内で繰り返し借入を行ない、借入人の死亡時に自宅等を売却することで、返済をするというものだ。

 

高齢者で、自宅は所有しているものの生活資金が苦しい人にとっては、事実上自宅を「現金」に替えて、生活資金を捻出できる、というメリットが売り文句である。

 

このローンの良いところは、自宅を担保に入れて、返済は金利分も含めて、自身が死亡したときなどに一括返済すればよい、という点だ。

 

自宅を担保に、お金を借り、自身が死亡したときに一括返済すればいい点だ。
リバースモーゲージは自宅を担保に、お金を借り、自身が死亡したときに一括返済する。

 

自分には愛着のある家だが、子供たちは都心のマンション住まいで戻ってくる予定もないし、ましてや自宅を引き継ぐ意思もない。それならば自分の家を「食いつぶし」て、死んだときに売却して返済すれば、何の後腐れもなく、豊かな老後生活ができるというものだ。

 

最近の相続の現場では、親の家は人気がないという。かつては「高嶺の花」だった郊外戸建て住宅は、今どきの共働きがあたりまえの子供世帯にとってはなんの魅力もない。相続されても管理や税金が面倒くさい。彼らが欲する親の遺産はもっぱら「現金」というわけだ。

 

それならばわかったよ。自分たちは老後資金もあまり豊かとは言えないから、自宅の「資産」としての価値分は、生活資金に繰り入れさせてもらうよ、というある意味、合理的な思想に基づいた考え方に則った商品がリバースモーゲージ、と言えそうだ。

 

リバースモーゲージは、そのまま自宅に住み続けることが前提なので、実際には郊外戸建て住宅を「脱出」しているわけではないのだが、資産価値を生活資金という領域に「脱出」させているというわけだ。

 

多くの金融機関のリバースモーゲージ商品の案内を見ると、その仕組みはおおむね次の通りだ。

 

(1)住宅の担保価値を評価 

(2)おおむね担保価値の50~70%程度の極度額を設定 

(3)極度額の範囲で毎月利用可能額を設定し、繰り返し借入ができるようにする 

(4)金利は住宅ローンなどよりも高い3%程度の変動金利

(5)返済は元利金合わせて期限一括返済または借入人の死亡時の一括返済

(6)相続人の同意が必要

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

不動産で知る日本のこれから

牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

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