感染者急増でもPCR検査数が各国に劣る日本の異常
東京都で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。このまま第2波へと発展するか、あるいは第1波収束過程における一過性な増加で終わるのかは予断を許さない。
この状況は日本に限った話ではない。社会活動を再開すれば感染者の増加は必至であるため、各国は対策に余念がない。その中心は検査体制の拡充だ。新型コロナウイルスに限らず、感染症対策の基本は早期診断・治療・隔離(自宅も含む)だ。検査しなければ、実態がつかめない。
流行が再燃している北京市では、市内の食品卸売市場「新発地市場」で感染者が確認された6月11日以降、検査の規模を拡大し、1日あたり100万を超えるサンプルを処理している。6月28日正午現在、829万9,000人の検体を採取し、768万7,000人の検査を終了したと発表している。
北京市の人口は約2,000万人だから、約4割が検査を終えたことになる。7月1日現在、累計感染者数は328人。感染拡大の抑制に成功している。
感染拡大が続く米国でも対応は変わらない。4月下旬、トランプ大統領は「まもなく1日で500万件の検査ができるようになる」と発言しているし、ニューヨーク州は7月1日に配信したメールマガジンで、「すべてのニューヨーク州民は州内に存在する750ヵ所程度の検査センターで、無料で検査を受けることができる」とアナウンスしている。ニューヨーク州の人口は約1,950万人。人口2.6万人につきPCR検査センターが1つ存在することになる。
日本の状況は違う。検査能力は最大で1日あたり2万8,000件だ。自民党新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の田村憲久本部長(元厚生労働相)は、PCR検査や抗原検査について、「1日10万件の検査能力を持つべきだ」と数値目標案を示しているが、米中とは比べものにならない。
ところが、このことは日本国内ではほとんど報じられない。PCR検査の必要性を否定する報道まである。