コロナ感染拡大第2波が懸念される今、再度緊急事態宣言が発令されてしまえば、ようやく再開しつつある様々な経済活動がまたも停滞してしまう。この不況をどう生き抜くのか。本記事では、亡き夫の借金に苦しんだ妻の事例を紹介する。 ※この記事は、烏丸リアルマネジメント株式会社代表取締役・矢田倫基の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

収入月20万円以下なんです。借金は永遠に返せません。

◆姉が購入してそのまま住まわせてくれることに

 

御池さんが一番希望していたのは夫との思い出が残る自宅に住み続けることでした。自殺した夫に対しては複雑な気持ちがあるものの、2人で購入し、幸せな記憶がたくさん詰まっている家に住み続けたいという思いには切実なものがありました。

 

ただし現状では収入が月額20万円に満たないため、高額の家賃を支払うことは困難です。投資家に購入してもらい、賃貸借契約を結ぶという手段がありますが、その場合家賃の相場は6万円程度となります。自宅を売却した後、残債を返済しながら毎月6万円の家賃を支払うのは、御池さんには困難でした。

 

そこで私が打診したのは「親族に購入してくれる人がいないか」ということでした。

 

その結果、御池さんのお姉さんが購入者として手をあげてくれました。お姉さんにも夫や子どもなどの家族がおり、一存で決められることではありません。高額の不動産を購入しても、お姉さん一家にメリットはないので、家族の意向によってはトラブルになるケースです。

 

幸い、お姉さん一家は御池さんを助けることに反対せず、買い取りはスムーズに決まりました。売却価格は周辺相場を参考に650万円としました。金融機関にとっては妥当な価格かどうかが気になるところなので、納得してもらえるよう私の会社で詳細な査定資料を作成しました。

 

御池さんは自宅の所有者がお姉さんに変わったものの、それまでと変わらず暮らせることになり、現在も以前とほぼ変わらない暮らしを営んでいます。

 

◆残債の返済は月額2万円で継続

 

自宅の売却代金が債務より少額だったため、御池さんには1000万円程度の借金が残りました。銀行との交渉で、残債についてはそれまでと同じく毎月2万円を支払うことで合意を得ることができました。月額20万円に満たない収入でもどうにか支払っていける返済額です。

 

もし差押えを経て競売になっていたら、住む家を失った上に高額の債務が残ったはずです。家賃などの住居費を支払いながら、高額の返済を続けるのは御池さんには不可能です。経済的に破綻することになり、生活は非常に苦しいものになったと思われます。

 

 

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住宅ローンが払えなくなったら読む本

住宅ローンが払えなくなったら読む本

著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

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