弁護士や司法書士が「売却不能」と言い逃げたワケは…
一般的な不動産会社には法律の知識がないため、相続放棄された物件を売却する方法がわかりません。一方、弁護士や司法書士は「相続財産管理人」を立てることまでは知っていても、債務者のニーズに応じた任意売却のノウハウはありません。
このケースの場合には、妥当な価格を決めて買い主を見つけることで、金融機関に対して猶予期間を求める交渉ができるようになります。ところが、不動産取引や交渉の実務経験がなければ、どのタイミングでなにをすればいいのか判断することができません。そうして判断を間違えると任意売却は成功せず、場合によっては「御池さんに大きな負担がのしかかるだけ」ということになりかねないのです。
御池さんの家を売却するためには、100万円の予納金に諸経費を加え、200万円程度のお金がかかることが予測されました。任意売却が成功しなければ、予納金の100万円は無駄になってしまいます。その場合には責任を問われかねないという不安があるため、弁護士や司法書士はとりあえず「売却不能」と答えたのです。
不動産取引と法律という2つの面で豊富な知識と実務経験を持っていなければ、怖くて関われないというのが、このケースについて多くの専門家の考えでしょう。任意売却の場面ではこういったケースは数多く見られます。そのため不動産会社と法律事務所が協力して解決にあたることもありますが、チームワークがなければそれぞれがバラバラに役割を果たそうとするだけでうまくいきません。
依頼者が本当に望む生活再建を実現するためには、知識と経験を持ち寄って行程表を作れるようなチームワークが必須です。残念ながら、日本にはまだそのようなサービスを提供できる組織や機関は稀少です。
◆手数料などの費用を捻出するためにはテクニックが必要
不動産の任意売却にはさまざまな費用が必要となります。弁護士や司法書士などの法律家に業務を依頼する場合にも、任意売却専門家に相談し、売却を依頼する際にも手数料がかかります。