どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東急電鉄目黒線「武蔵小山」。

買い物環境は抜群だけど、若者には少し物足りない

駅周辺の家賃水準をみていきましょう。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は8.27万円、11分を超えると8.12万円(図表1)。同条件の東京都品川区の家賃水準は、駅10分圏内で8.48万円、11分を超えると8.12万円。「武蔵小山」駅周辺は、品川区の平均と近い家賃水準のエリアです。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(6月26日時点) ※単位は万円
[図表1]「武蔵小山」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(6月26日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

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「武蔵小山」駅周辺は、30代会社員であれば適正家賃内で検討できるエリアです。大手ポータルサイトで検索すると、30代適正家賃内、駅チカの徒歩10分圏内に、多くの単身者向け物件を見つけることができます。1970〜1980年代に建てられた、築40年程度の物件が最も多く、新築や築5年程度の築浅物件は多くありません。築年数にこだわりがあるのであれば、競争率の高いエリアだといえるでしょう。

 

交通面はどうでしょうか。東急電鉄目黒線は「目黒」で東京メトロ南北線と都営地下鉄三田線と直通運転を行っています。「武蔵小山」から「目黒」は3分、南北線直通で「六本木1丁目」14分、「四谷」21分、三田線直通で「大手町」22分、「水道橋」27分。また「目黒」乗り換えで、「渋谷」15分、「新宿」22分(所要時間は、平日8時に「武蔵小山」駅を出発した場合の目安)。都心の主要エリアへのアクセスは良好です。

 

買い物環境はどうでしょうか。駅周辺には「東急ストア」「業務スーパー」「オオゼキ」「ライフ」と大手スーパーがあり、商店街には大手ドラッグストアチェーンも揃っています。商店街の個店も使い勝手がよく、最寄り品の購入で困ることはありません。店舗数は多いエリアですが、ファッションや雑貨など、若い人向けのショップはほぼないので、ほかの街にでかける必要があります。

 

飲食店を見ていきましょう。ファストフードや牛丼店、定食店はお馴染みのチェーンが揃っていますが、ファミレスは商店街に1店のみ。それでも単身利用でも気にならない地元密着の個店も多いので、外食派の人でも困ることはありません。アーケード街から外れたところには、ファンも多い人情派の居酒屋も残り、帰りがけの一杯が楽しくなる街です。

 

日本一の商店街とも称される「パルム商店街」が街の象徴である「武蔵小山」。人情味あふれる雰囲気が魅力ですが、タワマンの増加で、無機質な街になってしまわないかと危惧する住民が多いようです。街の行く末に注目が集まります。

 

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