本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

湘南でのんびり暮らしていた息子にふりかかった相続税

湘南にお住まいのEさんからの相談案件です。相談される1カ月前に父親を亡くして相続が発生。財産として実家、現預金、ゴルフ会員権、駐車場などの財産を相続することになりましたが、相続人が母と一人息子ということもあって、遺産分割で特に揉める要素はありませんでした。母が実家と現預金をいくらか相続し、それ以外はすべて息子のものということで話はまとまっていたのです。

 

ただし一つだけ問題が残っていて、それが1000m²(300坪)にもなる広い駐車場でした。息子が相続することにはなっていますが、それに課される相続税だけが心配の種だったようです。

 

もともとEさんの父親は、その土地をマンションとその駐車場として所有していました。ところが、マンションの入居者が集まりにくくなってきたこともあり、相続対策としてマンションを解体して、売却しやすい駐車場にしたことで300坪の面積まで広がったそうです。

 

駐車場がある土地の路線価は14万円だったので、概算でも約1億4000万円もの評価額です。Eさんは駐車場経営をそのまま引き継ぐつもりだったので、貸付事業用宅地として小規模宅地等の特例が利用できたのですが、貸付事業用宅地は200m²が適用上限の面積です。1000m²(300坪)のうちの200m²では約5分の1にすぎません。残りには適用できないので、やはり相続税は約2000万円です。

 

そこで、父親が相続対策等でお世話になっていた顧問税理士に頼んで、どうにか節税できないかという相談をしました。しかし顧問税理士からは渋い答えが返ってきます。「2000万円の相続税が課されても何とか支払えないことはないのだし、それは適切な課税だから諦めた方がいい」とのことだったのです。

 

諦めきれないEさんは自分でネットや書籍を使って情報を集めます。そのうちに広大地評価という特例を見つけますが、それが適用できれば土地全体の評価額が更地の半分程度まで下がる可能性があることに気がつきます。もしかしたら自分の場合にも適用できるのではないかと思い、顧問税理士に改めて相談すると、「検討してみる」、の一言。

次ページ1週間後に連絡が!発言内容を不審に思ったEさんは…
税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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