本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

「無理ですから」税理士が断言したのには理由があった

③については、マンション適地として認められる容積率でないことを証明できればいいだけにも思えます。マンション適地の基準は容積率300%以上ですから、300m²ある宅地ならマンション適地として広大地適用は不可となります。

 

ただし、300m²あるから必ずマンションが建つと言えるでしょうか。周囲にマンションがなく、入居者の当てもないような地域なら業者はマンションを建てようとは思わないでしょう。また、容積率が200%の場合でも、マンションを建てることが有効になる場合も十分に考えられます。

 

以上のようなことを考えると、原則はあくまで原則でしかなく、本当に広大地であるのかどうかを見極めるには、土地の周辺状況、利用価値、時価などを総合的に考慮した上で適用を判断し、申請するということが求められるのです。このあたりは不動産に精通していて、かつ経験がなければ難しいことです。

 

このような作業を、日頃から相続案件を扱っていないような税理士等がスムーズに行えるわけがありません。その証拠に、Eさんが相談した顧問税理士は原則だけを確認しただけで現地調査も何もせず広大地は無理だと判断していたのです。

 

広大地評価は適用できることを前提にして考えてしまうと、適用できなかったときとの相続税額の差が大きく、申告者の信用も失墜しかねません。広大地を知っていても敬遠する専門家が多い理由はそういったところにもあるのです。

 

【解決策 地道な現地調査によって、広大地適用が可能だと判明】

 

Eさんが広大地の適用を考えている駐車場は約1000m²、容積率は200%だったので、原則の2つには該当している土地でした。ただし公図で確認する限り、二方が広く道路に面しているので、潰れ地を生じさせなくても分譲できるような土地にも見えたのです。

 

顧問税理士が広大地適用は難しいと判断した理由もそこにありました。二方から入れるような土地だと、開発道路を設けなくても無理のない宅地分譲ができる可能性が高いからです。税務署側もそれを根拠として否認してくることも十分に考えられます。

 

ただし広大地として適用できるかどうかは、現地調査をしてみないと最終的な判断はできません。

次ページ現地に足を運んで確認してみると…?思わぬ事実が判明
税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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