本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

税務署からの嫌がらせ?強引すぎる対応のワケは…

【問題点2 広大地適用はハードルが高い】

 

広大地は知らない人も多いのに加え、相続に多少詳しいアドバイザーでも苦手である、また詳しいからこそ適用は難しいと判断しがちな特例の一つでもあります。なぜなら広大地はその評価の減額が大きいことから、適用には税務署の厳しい目が入るからです。

 

広大地評価は、まず以下の3つの原則に当てはまる土地かどうかで適用の可否が決まってきます。

 

① 当該地域の標準的な宅地よりも、著しく広大な宅地である

② 開発時に潰れ地が生じる

③ 大規模な工場やマンションに適していない

 

この3つの原則を証明するのは、一見してそれほど難しいことではないと思うかもしれません。しかし実務になると、これだけでは曖昧なところばかりで判断がしづらいところが多くあります。

 

①についていえば、当該地域がどこまで指すのかが曖昧です。もちろん常識的な範囲でとなるでしょうが、不利な地域は含めない、有利な地域は含めるといった恣意的な判断が反映されます。また、そのあとの著しく広大な宅地がどれほどの面積の土地を指すかが問題となってきます。国税庁は広大地の参考として「三大都市圏の市街化区域内なら500m²以上、それ以外の市街化区域内は1000m²以上」と公表しています。

 

②では、区画割りを考えてどれほどの潰れ地が生じるか図面で示して提出する必要があるのですが、これがまた厄介です。宅地分譲が適していると判断された土地でも、潰れ地を生じさせない区画割りもできるじゃないかと税務署側が主張してくることがあるのです。例えば[図表1]のようなことで、こちら側が開発道路を必要とする区画割りを提案しても、税務署側は旗竿地などを作れば必要ないという区画割りを提示してきます。

 

[図表1]税務署が示す強引な区画割りの例

 

区画割りをめぐって争った裁判例なども実際にあるのですが、それは無茶な現実には売れない区画割りを提出してくることもあるのです。

 

こういった税務署のある種嫌がらせのような対応は、地域によっても違いがあります。税務署の立場からすると、広大地の適用は安易に認めてしまうと税収の大幅減につながってしまうリスクがあり、また認めた場合と認めていない場合での税額の差が益々拡大し、不平等になってしまうという懸念があるのは間違いなく、適用はなるべく控えるというのが基本的なスタンスであると考えていいようです。

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