1週間後に連絡が!発言内容を不審に思ったEさんは…
1週間後にようやくまた連絡がきましたが、今回の駐車場では広大地の適用条件に該当しないので難しいのは変わらないという判断でした。また「申請するのはいいが、税務署に否認されると追徴課税などが課せられるリスクもあるので、そのような危険をあえて背負わず、無事に穏便に納税をした方が後々苦労せずに済む」ということを言われます。
Eさんはそれを聞いてがっかりしましたが、広大地に対しての返答が遅かったことで、もしかしたらこの顧問税理士は相続に詳しくないのではないかと疑います。セカンドオピニオンとして、もっと相続に詳しい専門家に意見を求めることにして、我々に相談いただくこととなりました。
【問題点1 広大地評価を知らない税理士】
税理士が相続について必ずしも詳しいとは限りません。広大地評価となると、贈与や小規模宅地等の特例などに比べると利用機会が少ないということもあり、知らない税理士がいても何ら不思議ではないことです。
そもそも広大地とは何かといいますと、名が示す通り広すぎる土地のことを指します。広すぎる土地は狭すぎるのと似たように使う用途が限られてきます。業者が取得する場合には、多くは宅地として利用するために分譲しますが、個人で使う場合には家を建てても余剰が出てしまいますし、活用方法を考えるのも維持するのも大変です。今時、1人で1000m²(300坪)の宅地を買われる人はめったにいません。
また業者が宅地利用する場合でも、すべてを無駄なく利用できるということは基本的にありません。宅地の場合には、区画割りして考えるときに必ず宅地として利用できない潰れ地というものが出ます。例えば新たに道路を造る必要があったり、公園などの公共施設をつくらなければいけないという決まりがあったり、ゴミ置き場を設ける必要があったり……そのような潰れ地は、お金に換えられない土地です。
潜在的にお金に換えられない土地があるにもかかわらず、その土地を一帯として、画一的に路線価によって評価されてしまうと実体を伴った評価ではないことになります。実際の土地の時価と乖離が生じて、土地の所有者は損をしてしまいます。
そこで有効宅地だけを評価するために、広大地評価というものができたのです。広さによって減額の割合は変わってきますが、最大で更地の35%評価まで下がりますから、65%もの減額ということになります。宅地分譲による潰れ地発生が前提ですから、マンションや工場、倉庫などでその一帯を利用できるような場合には、開発時に道路や公園などの潰れ地が不要なので該当しません。