不動産投資は投資というより経営に近い

――今後のプランなどありましたら、お聞かせ願いますか？

とりあえず、当面はこのまま持ち続けようと思います。いまの時代はトライアル＆エラーでやってみることが必要です。そういう意味で、医師の方は投資について真剣に考えるべきでしょう。

今後は、ますます医院経営は厳しくなっていきます。全国にある国公立病院は赤字で喘いでいます。そして国公立病院だけでなく、私立病院、個人医院も例外ではありません。そういった中で医院経営そのもののあり方、医師個人も変わっていかざるを得ないのではないでしょうか。

――阿久津医院も、何か新しい試みはされているのでしょうか？

はい。診療時間を19時にしています。近隣の医院は18時までというところが多いので、特徴的だと思います。実際、18時を過ぎて仕事帰りなどの方が来院されるケースは多いです。その他、休日診療なども行っています。また、他の医院との違いは「院内処方」ですね。

大見貴秀著 植田幸監修『失敗から学び続けた、資産家ドクターの投資術』(クロスメディア・パブリッシング）

――それはいまどき珍しいのではないでしょうか？

ええ、そう思います。一般的には処方箋を出して、近くにある調剤薬局で薬を購入しますが、そうすることで、患者さんは余計なお金を払っています。ですから、阿久津医院では院内処方にこだわって、医院で薬をお出ししています。

――それは、けっこう大変ではないですか？

ずっとやってきたことなので、当たり前のことだと思っています。患者さんにとって薬代の節約にもなりますし、わざわざ薬局に行かなくていいので、双方にとってメリットがあります。ただし、薬を常備しておかなくてはならないため、在庫を確保していくなど、運用面では面倒なところはあります。

――話は少し変わりますが、週に一回、阿久津医院以外での活動もされる予定があると伺いました。

木曜日に、他の医院から医師の方に来ていただいて、その代わりに私が別の活動をしたいと考えています。たとえば、私自身の専門領域を生かしたフリーランス活動ですね。

――それは、医院経営と関係があるのですか？

はい。自身の医院での診療だけですと、「井の中の蛙」になってしまいますし、外の世界を見て自分を研鑽する意味でも、フリーランス活動をしたいと計画しています。

――これからの医療のあり方を示唆していますね。

これからは医師の働き方も多様化していくでしょう。医療全体としては「専門医」という方向に向かっていっていますが、一方でフリーランス医師の需要は高まっているように思えます。本書の著者である大見先生は少し前まで麻酔医師としてフリーランス活動されていたと聞いていますが、そのような専門医師だけでなく、今後は私のような内科医であっても、フリーランス活動は増えていくと思います。

――医院経営も多様化していく流れにあるということですね。

そうです。だからこそ、経営感覚というものが非常に重要になってくるのです。そういう意味で、あまり時間を取られず、安全性の高い確実な投資として不動産投資を行っていくというのは、守りの経営という意味で必然なのかもしれません。不動産投資の実際は、自分が不動産のオーナーになって賃貸経営をしていくことですから、投資というよりも、経営に近いですよね。まだ私自身、不勉強なところもあって、不動産投資の細かい点まで把握できていませんが、経営感覚を磨く意味ではやってみてよかったです。これから、さらに知識を身につけて、資産形成もさまざまなことにトライしていこうと考えています。

（インタビュアー　クロスメディア編集部）

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