儲かっている社長は1円単位のお金にもシビア
次に、多くの「儲かっている社長」に共通する点は、1円単位のお金に対してもシビアな感覚をもっていることです。お金を大ざっぱに扱うことなく、たとえ1円でもお金の出入りを把握し、ムダがないように心がけて事業を運営しています。
堅実に利益を出し続けているある顧問先企業の社長は、請求書は必ず自分で目を通す習慣をもっています。そして、少しでも疑問に思うことがあると、自ら問い合わせたり確認したりするのです。
あるとき、この社長から「請求が外税できていますが、先生は消費税込みだとおっしゃっていましたよ」という連絡がきました。当時の消費税は5%ですから、金額にすると5000円くらい。それでも「どうだったっけ?」「まっ、いいか」で終わらせず、きっちりと連絡をしてきたのです。
これに対して私は、「確かにそう言いました。誠に申し訳ありません」とお詫びし、請求書を内税に訂正して再発行させていただきました。そのうえで、「次回の請求からは外税にさせていただきます」と念を押しました。
また、お金に対していい加減な社長かどうかは、貸借対照表を見ればすぐにわかります。
私は、当事務所に興味をおもちいただいた方には、初回の面談時に必ず「決算書を見せてください」とお願いしています。
ここで一つ質問です。
貸借対照表で「役員借入金」が、右側(負債)に1000万円計上されている会社と、「役員貸付金」が左側(資産)に1000万円計上されている会社では、どちらがお金に対してルーズでしょうか。
答えは「左側(資産)に1000万円計上されている会社」です。
「え、会社が社長に1000万円貸すくらいだから儲かっているんじゃない?」
とあなたは思うでしょうか。
実は、「左側(資産)に1000万円計上されている」のは、会社の資産から役員報酬を出しているということです。つまり、事業としての利益が出ていないのに、資産を削って役員に報酬を出していると考えられるのです。
これはつまり、儲けが出せていないのに、大切な会社のお金を自分の生活費に使っているということです。
こうして、自分のお金と会社のお金をナアナアに扱う社長は、間違いなく10年も経たずにいなくなります。「儲かっている社長」は、お金に対して真摯に向き合い、1円でも1万円でも同じように大切にしているのです。