米ドル通貨供給量の拡大がもたらす、ドルの価値の下落と金の上昇

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

 

2020年3月23日、米連邦準備制度理事会(FRB)は無制限の量的緩和を決定した。その後急速に拡大してきているのが米ドル通貨供給量だ。金の供給量は限定的であるのに対しドル通貨供給量の拡大は、世界の基軸通貨であるドルの通貨価値の下落と金価格の上昇を引き起こす可能性がある。

米通貨供給量の拡大は、米ドルの通貨価値下落と金価格上昇の要因

2020年3月23日米連邦準備制度理事会(FRB)は無制限の量的緩和を決定した。その後急速に拡大してきている指標がいくつかあるが、その一つが米ドル通貨供給量だ(図表1参照)。米ドル通貨供給量は3月20日の週の4兆1365億ドルから、わずか9週間で+9,297億ドルと約23%増加し、5月22日の週には5兆662億ドルとなった。金の供給量は限定的であるのに対し、このような米ドル通貨供給量の拡大は、ドルの通貨価値の下落と、供給量が限定的な金の価格上昇を引き起こす可能性がある。

 

 週次、期間:2007年1月6日~2020年5月22日 ※米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)、金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD ※ブルームバークのデータ基づきピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国通貨供給量と金価格の推移 週次、期間:2007年1月6日~2020年5月22日
※米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)、金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD
※ブルームバークのデータ基づきピクテ投信投資顧問作成

米ドル通貨供給量は、リーマンショック後の量的緩和時期より早いペースで拡大

2019年末までに人類が産出した金は累積で約20万トンといわれている。そして1959年以降、平均して年率1.6%のペースで金は産出されてきた。一方で米国は、金の産出量の約3.6倍に上る年率5.7%で米ドル通貨供給量を拡大してきた(図表2参照)。

 

年次、期間:1959年~2019年(1959年末=100として指数化) ※米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)、金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD  ※米国立鉱物情報センター、ワールド・ゴールド・カウンシル、およびブルームバークのデータ基づきピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国通貨供給量と金の総残高および金価格の推移 年次、期間:1959年~2019年(1959年末=100として指数化)
※米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)、金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD
※米国立鉱物情報センター、ワールド・ゴールド・カウンシル、およびブルームバークのデータ基づきピクテ投信投資顧問作成

 

この米ドル通貨供給量だが、リーマンショック以降、米国で量的緩和政策が採用されてから一段と加速していることがグラフからも確認できる。当時の米ドル通貨供給量を調べてみると、前年比で最大23%拡大していた。それに対し、足元米ドル通貨供給量は5月22日の週に前年比33%と、4月10日の週以降、過去7週連続でリーマンショック後の量的緩和時期の最大の拡大ペースを上回っている。

 

この様にかつてないペースで米ドルの通貨供給量が拡大しているが、一方で金は今のペースで産出を続けると20年足らずで全てを掘り尽くすと言われている。

 

将来的には産出ペースが落ちることすら想定される金の供給量と、過去最大のペースで拡大を続けるドル通貨供給量との供給量格差は、今後世界の基軸通貨であるドルの通貨価値の下落と供給量が限定的な金価格の上昇を引き起こす可能性があると考える。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米ドル通貨供給量の拡大がもたらす、ドルの価値の下落と金の上昇』を参照)。

 

(2020年6月1日)

 

塚本 卓治

ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略部長

 

 

投資家ご本人が、自ら考え、選び、投資をするプロセスを徹底サポート!
幻冬舎グループのIFAによる
「資産運用」個別相談会

 

[PR]2021年1月21日(木)WEB&幻冬舎会場開催/特別イベント
米国アライアンス・バーンスタインのアドバイザーと本音で語る!
不透明な市場環境下での「米国株」資産運用とは?

IFA口座開設済みのお客様限定/特別フリートークセッションライブ

 

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 投資戦略部長

日系証券会社にて債券及びデリバティブ業務に従事した後、外資系運用会社および日系ファンド・リサーチ会社にて投資信託のマーケティングを担う。通算20年以上にわたり運用業界で世界の投資環境を解説。ピクテではプロダクト・マーケティング部長等を経て、現職。経験豊富なストラテジストが揃う投資戦略部を統括する傍ら、自らも全国の金融機関や投資家を対象に講演を行う。

マサチューセッツ工科大学(経営学修士)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・Deep Insight

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧