12月FOMCが「想定内」とは言えない理由 (※画像はイメージです/PIXTA)

12月FOMCではテーパリング加速と利上げペースの加速が示された。これらは市場関係者の想定通りの結果であったが、唯一「想定外」とも言えるのが「量的引き締め」に関する議論が今回のFOMCで行われたことだ。マーケットは予想よりも早い「量的引き締め」の開始を織り込み始めている可能性がある。

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テーパリング加速は想定内

12月14-15日に開催されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)でFRB(米国連邦準備制度理事会)はテーパリング(量的緩和縮小)の加速を決定した。前回11月のFOMCでは来年6月にテーパリングが終了するガイダンスを示していたが、これを前倒しして来年3月とする(図表1)。わずか1ヵ月で方針転換を迫られた背景には想定外のインフレ圧力がある。

 

月次、単位:億ドル、期間:2021年10月~2022年6月 点線は2021年11月FOMC時点のガイダンス
[図表1]2021年12月FOMC声明文で示された今後のテーパリング・ペース 月次、単位:億ドル、期間:2021年10月~2022年6月
点線は2021年11月FOMC時点のガイダンス
出所:FRBよりピクテ投信投資顧問作成

 

FRBはこれまで高インフレは「一時的」との見解を繰り返してきた。しかし、コロナ禍に伴う生産不足やサプライチェーン(供給網)のボトルネック等によって、インフレはFRBの想定以上に上昇、そして長期化する見通しへと変容した(図表2)。

 

単位:%、2021年12月時点と2021年9月時点の比較 出所:FRBよりピクテ投信投資顧問作成
[図表2]FOMC参加メンバーの予測 単位:%、2021年12月時点と2021年9月時点の比較
出所:FRBよりピクテ投信投資顧問作成

 

実は11月30日に開催された上院銀行委員会において、すでにパウエルFRB議長はインフレが「一時的」であるとの見解を撤回し、さらに今後のテーパリングについても「数ヵ月、早めるのが適切」と軌道修正をかけていた。その後、12月3日に発表された11月米雇用統計でも家計調査の雇用者数が前月比113.6万人も増加したこともあり、マーケットではテーパリング加速がいわばコンセンサス化していた。このため、12月FOMCでテーパリング加速が決定し、FOMCメンバーの経済予測でインフレと政策金利見通しが上方修正されても、特段のサプライズはなかったと言える。

FOMCで「量的引き締め」の議論が行われたことは想定外

テーパリング加速も想定内、来年の利上げペース加速も想定内となった12月FOMCだが、唯一「想定外」とも言えるのが「量的引き締め」に関する議論が今回のFOMCで行われたことだ。パウエルFRB議長は12月FOMC後の会見で、FOMCにおいてバランスシート問題(量的引き締め)が議論されたことを明らかにしたのだ。

 

「量的引き締め」は「量的緩和」の逆でFRBが保有する米国国債などの残高を圧縮する金融政策を指し、2010年代のFRBの金融政策は、テーパリング開始(2014年1月)→利上げ開始(2015年12月)→「量的引き締め」開始(2017年10月)という順番で、段階的に行われていた。

 

注目すべきはその間隔だ。テーパリングが開始された2014年1月から約2年後に利上げが開始され、さらに利上げが開始された2015年12月から約2年後に「量的引き締め」が開始されている。前回のテーパリングから利上げ、そして「量的引き締め」への移行は実に緩やかに行われていたことが分かる。

 

では今回はどうだろうか。FRBが示した方針通りになれば、テーパリングは来年3月に終了し、早ければ来年3月15-16日のFOMCで利上げが決定される可能性がある。テーパリングが開始されたのは今年11月なので、利上げまでの間隔はわずか4ヵ月になる計算だ。それに追討ちをかけたのがパウエルFRB議長による「バランスシート(量的引き締め)」発言だ。今回のFOMCでは「量的引き締め」に関する方針は何も決まっていないが、マーケットは予想よりも早い「量的引き締め」の開始を織り込み始めている可能性がある。12月FOMC後に株式市場が不安定になった理由のひとつがここにあると考えられる。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『12月FOMCが「想定内」とは言えない理由』を参照)。

 

(2021年12月20日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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