嫁姑バトル勃発!祖母の怒りは、思わぬ方向へ
「なぜ、あんなに仲が悪くなったのか、首をかしげるばかりです」
そう話すAさん。仲が悪いのは母とその義母、Aさんにとっては父方の祖母です。いわゆる嫁姑問題で長年いがみ合っているのです。
父は三人兄弟の長男で、一家は父の両親と同居をしていました。そのころの母と祖母は仲が良かったと、Aさんは振り返ります。
「よく母と祖母、2人で台所に立っていましたね。代々伝わる一家の味を、お嫁さんに伝える……傍から見ている分には、仲の良い嫁と姑、という感じでしたけどね」
Aさんは大学進学と同時に家を出て1人暮らしを始めたので、それ以降、母と祖母がどのような関係だったのかは、はっきりとしません。ただ年に数回帰省した際も、2人の関係は相変わらずだったと記憶しています。
そんな関係に変化があったのが、Aさんが30歳になったとき。父が55歳で他界したのがきっかけでした。5年に渡る闘病生活。一時は仕事に復帰できるほど回復をしましたが、急な病状悪化で帰らぬ人になったのです。
そしてひと通り葬儀が終わったある日、Aさんの家のチャイムを鳴りました。そこには、Aさんの母の姿があったのです。
「どうしたの?」とAさんが聞けば、「家を出てきた」と母。聞けば、元々嫁姑の関係は上手くいってなかった、外面は良く見せていたけど、陰ではいびられ続けてきた、というのです。
「お父さんもいないんだし、もうあの家にいる義理なんてないわ」と母。
――あんたの作るみそ汁は、いつまで経っても味が薄い。出汁の取り方がなっていないからだ
――まだ部屋の隅に埃が残っている。どこに目がついているんだか……
――あんたはいつも化粧が濃い。田舎でそんな顔して、どこに行く気か
父が病気になってからは、
――あんたがしっかりした嫁だったら、病気になんてならなかった
と、言われ続けてきたといいます。とはいえ、そのころAさんは結婚し、第1子が生まれたばかり。ただでさえ手狭になった家に、実の母とはいえ大人が1人増えるのはちょっと……と困惑し、祖母に電話したところ、Aさんも怒鳴られたといいます。
「祖母に『あんな女をかくまっているのは、あんたも同罪だ!』と怒られました。ビックリですよ、声を荒げる祖母の声を初めて聞いたので……」
結局、祖母と母は冷戦に突入。祖母の母に対する憎悪は、時にAさんにも向けられたといいます。
「私はたまに祖母の家に行くようにしてるんですよ。ひ孫の顔を見せたら、少しは怒りも収まるかなと考えて。祖母もあくまでも嫁姑の問題で、孫である私は関係ないと頭ではわかっているみたいですが、孫まで憎いと感じるときがあるみたいで……」
母が家を出てからあっという間に5年の月日が経ちましたが、母と祖母の関係は悪化していくばかり。そんなとき、また新たな火種となるできごとが……。祖父が亡くなったのです。