相続人となった孫に降りかかる、祖母の怒り
90歳を超えていた祖父。大往生といったところでしょうか。葬儀がひと通り終わった後、祖母の呼びかけで相続人たちが集められました。集まったのは、祖母、Aさんの2人の叔父、そしてAさんの4人。
叔父1「ごめんな、A。意心地が悪いだろう。ただ死んだ兄貴に代わって、君も相続人になるから」
Aさん「いえ、叔父さん。父の代わりというのは、母からも聞いていたんで」
叔父2「で、あれか、まだ義姉さんと母さんは、バチバチなのかい?」
Aさん「そうですね…まったく顔を合わせてないですね」
2人の叔父とAさんがコソコソ話していると、祖母がやってきました。祖父よりは若いとはいえ、80歳を超えています。葬儀でバタバタしていたということもあり、少々疲れている様子でした。
祖母いわく、祖父の遺産は自宅と、現在は駐車場として貸し出している自宅に隣接した土地、そして現金が5,000万円ほどとのこと。
叔父1「へぇ、たいしたもんだな、親父」
叔父2「そんなに金持ちだったとは、知らなかったよ」
祖母「私は、住む家だけあれば十分。だからそれ以外のことで分け方を考えたいの」
叔父2「母さんがそういうのであれば、それでいいけど」
叔父1「じゃあ、駐車場と現金をどう分けるか、ということか」
祖母「ただひとつだけ言わせて、Aには1円も渡したくない」
叔父1、2「えっ!?」
Aさん「……」
叔父1「なんでそんなこと?」
祖母「あの女には、1円も渡したくないの!」
叔父2「あの女って、義姉さんのこと?」
祖母「そうよ、あの女のせいで、この家はめちゃくちゃよ!」
叔父1「ちょっと待ちなよ、母さん。義姉さんは相続人じゃない。相続人はA。死んだ兄さんに代わって、きちんと遺産を分けるべきだと思うよ」
祖母「いえ、Aはあの女が出ていったとき、かばったの。あの女の味方なのよ」
叔父2「味方とか、敵とかないだろう」
叔父1「そうだよ、母さん。そんなこといったら、兄さんも父さんも、心配で出てきちゃうよ」
祖母「何よ! あなた達もあの女の肩を持つのね!」
捻じれに捻じれ、解けなくなった嫁姑問題。結局、2人の叔父の仲裁で、遺産分割は何とかまとまり、駐車場は売却して現金化し、3等分することになったといいます。しかし母と祖母の関係は、改善しないまま、今日に至るそうです。