日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、遺された兄姉と義妹との間で起きたトラブルについて、相続を専門とする円満相続税理士法人の桑田悠子税理士が解説します。

年の離れた兄姉が「弟の進学」を金銭的にサポート

【登場人物】
・父
・長男(Aさん)
・長女(B子さん)
・次男(Cさん)
・次男の嫁(D子さん)
※母はすでに他界。三人きょうだいのうち、長男・長女と次男は年が離れている

 

仲の良い家族、三人兄弟の長男として生を受けたAさん。月日がたち、Aさん(長男)とB子さん(長女)は就職して実家を出ましたが、家族との交流は頻繫に続けていました。両親と話したいのも勿論でしたが、AさんとB子さんは年の離れたCさん(次男)を非常に可愛がっていたのです。Cさんもなにかと構ってくれる兄と姉を慕っていました。

 

しかし、Cさんが高校生になった夏、ある事件が起きてしまいます。

 

「え!? 父さんが死んだ?」

 

最近調子が悪いからと大事をとって療養していた父の容態が急変。入院先の病院で急死してしまったのです。長男と長女は独立したとはいえ、次男のCさんにはまだ大学受験や就職が控えています。一家の大黒柱が突然倒れてしまったことで、進学すら危うい状況となってしまいました。父は借金こそ残さなかったものの、遺産がそう多いわけでもありません。

 

「僕、大学に行くのは諦めるよ。高校を出たら、すぐ働こうと思う」

 

そう、はじめに家族に言いだしたのはCさん。Cさんは小さい頃から頭が良く、勉強をするのが好きな子どもでした。そんな弟が大学進学を楽しみにしていたと、誰よりも知っていた兄姉は一大決心をします。

 

「俺たちが金を出すよ」

 

AさんもB子さんも、まだ若手中堅社員でしたから、そう給料が良かったわけではありません。それでも、歳の離れた可愛い次男のために力を貸したかったのです。

 

「兄さん、姉さん……ありがとう。僕、大学受験頑張るよ」

 

そんな兄と姉の言葉に、Cさんは涙ながらに感謝の言葉を述べたそうです。その後Cさんは恩を返そうと必死に勉強を続けました。その結果、難関国立大学に現役合格することに成功します。

 

「せめて学費が少ないところにいって、兄と姉への負担を減らしたかったんです。だから、大学選びにも拘りました」

 

そうCさんは照れたように笑ってみせたといいます。Cさんは大学在学中も努力を重ね、成績も常に上位をキープ。また勉学だけでなく課外活動やボランティア活動などにも精を出しました。Cさん自身が努力を厭わない性格だったこともありますが、自分の生活を切り詰めてまで金銭的に援助してくれた兄と姉に報いたい気持ちもあったようです。

 

そのような精力的な学生時代を評価され、Cさんは大学卒業と同時に有名グローバル企業に就職しました。

 

高収入を約束されたエリートサラリーマンとなったCさんに、AさんとB子さんは心から祝福の言葉をかけたといいます。

 

弟の成功を自分のことのように喜んでくれる兄と姉を見て、Cさんは「きっと恩を返すからね」と繰り返し口にしていました。実際、事あるごとにAさんやB子さんを食事に誘ったり、誕生日などには豪華なプレゼントを奮発して用意したりと恩返しをしたそうです。

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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