中古ワンルームマンションの99%が「割高」物件であるワケ

中古ワンルームマンション投資の失敗要因はほぼ「割高物件の購入」に集約されます。しかし実は市場に出回っている物件の99%が「割高」です。ここでは、「割高」物件を生む中古ワンルームマンション独自の流通システムについて解説します。※本記事は『年収500万円のサラリーマンが不動産投資で成功したければ「中古ワンルーム」を「物上げ業者」から買いなさい』を抜粋・再編集したものです。

再販業者から購入する物件は「割高」で当然

一般的に中古ワンルームマンションが流通する際は、次の2種類の不動産業者が介在します。

 

1. 物上げ業者

すでにワンルームマンションを所有している売主からの依頼、または売主を探してくることによって、購入したい買主(投資家含む)に物件を仲介する業者です。物件を仕入れるのが仕事なので、一般的には卸売業者と言えますが、不動産業界では「物上(ぶつあ)げ業者」と呼ばれています。得られる利益(仲介手数料)は、上限で売主と買主からそれぞれ販売価格の3%+6万円(税別)と定められています。筆者はこの業者に当てはまります。

 

2. 再販業者

物上げ業者からいったん物件を買い取り、買主へ再販する業者です。得られる利益は業者自身が自由に決められますが、通常は買取価格の20%程度です。市場に出回っている中古ワンルームマンションのほとんどは、物上げ業者を通じて再販業者が買い取ったものです。

 

家電など一般的な商品に例えれば、物上げ業者が問屋で再販業者が家電量販店です。したがって、現在の中古ワンルームマンション市場では、一般の人は再販業者から購入するのが当たり前となっています。正確なデータはありませんが、その割合は99%以上ともいわれています。

 

長い間、物上げ業者と再販業者は、Win-Winの関係を築いてきました。物上げ業者からすれば買主を見つけて来るのは、非常に手間の掛かる作業です。また、努力して見つけても、そこから先の融資審査などの手続きに時間が掛かり、審査に通らなければ、また振り出しに戻ってしまいます。

 

しかし、再販業者に声を掛ければすぐに商談がまとまり、融資審査の手間もありません。まさに理想的なお客さまなのです。

 

一方で、再販業者は物件を仕入れる作業に手間を掛けず、再販に営業力を集中したいと考えます。つまり、できるだけ大量の物件を短期間で集めて再販したいのです。

 

そこで物上げ業者をパートナーとすれば、効率よく「仕入れ→再販」という流れを構築することができるわけです。

 

再販業者の多くは、それぞれのお客さまに対してしっかりヒアリングを行い、最適な物件を一生懸命考え、ときにはローン審査の通らないお客さまのために走り回って、審査を通してくれる金融機関を見つけてきます。これは非常に手間の掛かる作業です。それゆえ、およそ2割の利益が上乗せされるのは仕方がないと言えるかもしれません。

 

買主に最適な物件を見つけ、審査通過のために奔走
最適な物件を探し審査通過のために奔走する労力は、手数料2割でも納得

投資成功の最短距離は、物上げ業者からの購入

これで中古ワンルームマンションならではの流通システムが理解できたと思います。ここからが本連載のメインテーマです。一般市場に出回っている中古ワンルームマンションの約99%は、再販業者が販売するものです。そのどれもが20%前後の利益を乗せている。それならば、物上げ業者から直接物件を買う=卸売価格で買うことができれば、割高な物件をつかむことは絶対にないと言えます。その内容を詳しく説明しましょう。

 

一般の人でも少し不動産売買に詳しければ、窓口となる不動産会社の立場には、おもに「売主」と「媒介(仲介)」の2種類があることをご存じだと思います(ほかに「代理」もありますが少数なのでここでは割愛します。また「媒介」を「仲介」とすることがありますが、ほぼ同義と考えて構いません)。

 

[図表]不動産広告(中古ワンルーム)の例

 

これは不動産広告の取引態様欄に必ず記載されている項目です。売主とは現在の物件所有者のこと。つまり、自社物件ということです。そして媒介とは売主と買主を結び付ける仲介役のことです。媒介の場合は、前述のように契約成立時に不動産会社へ仲介手数料を支払うことになります。

 

一方で売主の場合は仲介手数料を支払う必要はありません。ですから、一見、売主の不動産会社から買ったほうが安価で手に入ると思われるかもしれません。

 

ところが中古ワンルームマンションの場合は、前述のように売主となっているほとんどの不動産会社が再販業者(不動産投資会社)なので、仕入れ価格から20%前後の利益が乗せられています。したがって、安価ではありません。

 

再販業者が売主となっている2,000万円の物件があれば、一般的にそのうち約400万円(約20%)は利益です。つまり、仲介で買うより400万円も高いということになります。

 

そして、ローンで物件を購入すれば、さらにその差は開きます。次の例で説明します。

 

●再販業者(売主)の場合

 

物件価格:2,000万円

金利:2%

返済期間:35年

家賃:7万円

管理費・修繕積立金:1万円

毎月のローン返済額:約6万6,000円

 

35年間のトータル返済額:2,772万円

 

●仲介の場合

 

物件価格:1,600万円

金利:2%

返済期間:35年

家賃:7万円

管理費・修繕積立金:1万円

毎月のローン返済額:約5万3,000円

 

35年間のトータル返済額:2,226万円

 

差額:2,772万円-2,226万円=546万円

 

物件価格の差は400万円ですが、ローンの金利によって結局は546万円も多く支払うことになってしまうのです。

 

しかし、差額はこれだけではありません。借入額の違いによってキャッシュフローが次のように大幅に変化するからです。

 

●売主(再販業者)の場合

家賃収入:6万円(家賃−管理費・修繕積立金)

毎月のローン返済:6万6,000円

収支:マイナス6,000円

年間収支:マイナス6,000円×12-5万円(固定資産税等)

=マイナス12万2,000円

 

●媒介(仲介)の場合

家賃収入:6万円(家賃−管理費・修繕積立金)

毎月のローン返済:5万3,000円

収支:7,000円

年間収支:7,000円×12-5万円(固定資産税等)

=3万4,000円

 

売主(再販業者)から買った場合、年間のキャッシュフローはマイナス12万2,000円。節税によって何とかプラスマイナスゼロに持っていけるラインです。ただし、原状回復費用などを積み立てることを考えれば、完全に赤字でしょう。

 

一方、仲介で購入すれば、年間のキャッシュフローは3万4,000円のプラスです。節税も加えれば黒字は軽く10万円を超えるでしょう。原状回復費などを考慮しても、余裕でプラスになる金額です。

再販業者の物件は「節税目的の多忙な資産家」向け

ここで一般的なサラリーマンである皆さんに考えていただきたいのが、「仲介という方法があるならば、わざわざ再販業者から買うことはないのではないのか」ということです。

 

売主が仲介よりも割高になるのは間違いのない事実です。ですから再販業者に向いたお客さまは、この2割を支払っても割に合う人といえます。具体的には節税などのためにできるだけ効率よく現金を使いたい人。そして普段非常に忙しいため、業者に任せきりで不動産経営を開始したい人。例えば医師や会社経営者といった多忙な資産家でしょう。

 

筆者は30歳を過ぎるまで大手メーカーで営業担当をしていました。お客さまのもとへ何度も何度も通い、小さな利益をコツコツと積み上げて、やっと人並みの収入を得ることができる仕事です。

 

そんな経験を重ねてきた筆者としては、再販業者のビジネスモデルがどうしても一般的なお客さまにメリットがあるモデルとは思えませんでした。

 

筆者が考える「一般的なお客さまにとってメリットがある買い方」とは、利益が仲介手数料という形で明確になる物上げ業者から買うことです。

 

ここで「再販業者でもお願いすれば仲介をしてくれるのではないか?」という疑問を持つ人もいるかもしれません。

 

確かに多くの再販業者は、過去に大量の物件を販売しているので、その中から売主を見つけて仲介契約を結ぶのは容易でしょう。

 

しかし、再販業者はそもそもお客さまに「この物件は最高です!」という案内で販売しています。そのうえで「良くなかったから売りませんか?」とは口が裂けても言えないはずです。

 

また、そもそも売主を探す時間があるくらいなら、より利益率の高い買主を探すでしょう。ビジネスモデルを変更することは、ほぼあり得ないのです。一方で、物上げ業者が行っている仲介業務は、再販業務ほど営業数字に追われるようなビジネスモデルではありません。それゆえ比較的お客さまのペースに合わせる営業スタイルの会社が多いようです。この点も物上げ業者の魅力のひとつでしょう。

物上げ業者から購入した物件は出口戦略においても有利

中古ワンルームマンションを物上げ業者から購入すれば、20%前後も安くなります。投資においてこれは非常に大きなメリットでしょう。

 

しかし、物上げ業者から買うメリットは、価格だけではありません。出口戦略にも有利なのです。その理由には次のようなものがあります。

 

・キャピタルゲインを得られる可能性が高い

 

相場よりも安価で買えるということは、場合によっては買値よりも高く売れる可能性が高まるということです。つまり、インカムゲイン(家賃収入)だけでなく、キャピタルゲイン(売却益)も狙えるのです。

 

・ローン返済中でも売却しやすい

 

人生は計画どおりに行かないものです。何かのきっかけでローン返済中に物件を売却しなければならなくなるかもしれません。その際、物上げ業者から安価で物件を買っていれば、残債が少なくなるので、出費も比較的少なく売却することができます。これは、再販業者から買うよりも「ローンを背負っている」という精神的負担が少ないということにもつながります。

 

また、突然家族が多額の医療費の掛かる病気になったり、子どもが留学したりといった事態が重なり、まとまった現金が必要になる場合もあるでしょう。

 

そんなとき、物上げ業者から安価に買っていれば、ローンの返済中に売却しても利益が残債を上回る時期が早まります。そうなれば、売却益をそれらの費用に充てられる可能性が生まれます。

 

これらのことは、セミリタイアをするときにも有利に働きます。キャピタルゲインなどまとまった現金が得られれば、より大きな投資への足掛かりとなり得ますし、会社を退職して起業する資金にもなるでしょう。その結果、お金に困らないセミリタイア生活が実現されるかもしれません。

 

 

桑田 泰

エステージェント株式会社 代表取締役

エステージェント株式会社 代表取締役

営業コンサルティングを経て平成29年7月より現職。
業界の慣例に左右されない消費者重視の提案で多くの顧客の資産形成をサポートするとともに、不動産業界の透徹を創造。
企業理念に基づき、不動産を通じて関わる人すべての豊かな未来を実現できる会社づくりを目指している。

著者紹介

連載年収500万円のサラリーマンが「中古ワンルームマンション投資」で成功する方法

年収500万円のサラリーマンが不動産投資で成功したければ「中古ワンルーム」を「物上げ業者」から買いなさい

年収500万円のサラリーマンが不動産投資で成功したければ「中古ワンルーム」を「物上げ業者」から買いなさい

桑田 泰

幻冬舎メディアコンサルティング

サラリーマンにとって将来に対する不安は尽きることがありません。 老後に年金だけで生活するのは不可能という試算があるだけでなく、そもそも年金の支給額は人口減少、少子化に伴って減少していく可能性もあります。 日本人…

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