年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、相続人の父が遺した貯金通帳にまつわるトラブルを、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

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遺産の使い込みはよくあるトラブル

被相続人と同居していた相続人が勝手に引き出してしまうケースなど、遺産の使い込みは、相続トラブルのよくあるパターンのひとつです。「何でこんなに遺産が少ないんだ!?」という疑念のもと、弁護士を立てて争うことも少なくありません。

 

そうならないためにも、遺す側は遺される側のことも考えて、事前に相続の準備をしておくことが大切です。そして相続対策は順番が肝心になります。

 

相続対策で最初にやるべきは「現状分析」です。万が一のことを想定し、

 

・どのくらいの相続税が発生するのか

・納税できるだけの資金があるのか

・家族が円満に相続することができるのか

・税務調査で問題になりそうなことがないか

 

などを精査していきます。次に行うのが「遺産分割対策」です。相続が起きたときに、どのように遺産を分けていくかを考えます。このときに大切になるのは、相続税の観点、そして、「みんな円満に仲良く相続してくれるか」という観点です。相続人全員が不満を持たずに遺産分けができるか。それができて初めて、家族全体で最も相続税の負担が少なくなる遺産の分け方を考えていくことになります。遺産の分け方が固まったら、遺言書で残しておくようにしましょう。

 

遺産分割対策の次には、評価引下対策を考えます。不動産や生命保険を活用した相続税対策です。 これらが終わって、初めて生前贈与が登場します。生前贈与は、相続対策の仕上げと考えましょう。

 

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