なぜ不動産購入で相続税額は下がるのか?
今、「相続税対策」というのはある意味ブームみたいになっているところがあります。その対策の代表といえるのが「相続対策として不動産を購入しましょう」というものです。
ただ筆者は税理士という中立的な立場でいうと、基本的に相続対策として不動産購入はおすすめできません。
そもそもですが、「不動産を買うと相続対策になるのは本当」です。効果も大きく、劇的に相続税は下がります。
なぜ相続税が劇的に下がるのかといえば、「時価と評価額の差」。時価というのは不動産を購入するときの金額で、評価額は相続税を計算するときに使う金額です。そこに大きな差があります。評価額のほうが低いです。
たとえば1億円でタワーマンションの1室を買ったとすると、評価額は2000万円程度になります。タワーマンションに限らず、1億円の不動産を買ったとしたら、どんなに高い評価額がついても8000万円、ものによっては5000万~6000万円といった、低い評価額がつきます。
決して間違い、というわけではなく、国が定めている計算方法に基づいて計算すると低い評価額が算出されるのです。この購入金額と評価額の差が大きければ大きいほど、相続税対策になります。
さらに「時価と評価額の差」だけでなく、「小規模宅地等の特例」という、人に貸すアパートや駐車場など、賃貸不動産で使える制度で、土地200㎡まで50%にできるという特例もあります。この特例を使えば、さらに評価額を低くすることができるので、かなり大幅な相続税対策ができます。
このように不動産業者が「不動産を購入すれば相続税対策になる」という文句は本当です。ただし「借金をすれば相続税対策になりますよ」という金融機関もありますが、これは間違いです。
多くの方が誤解しているのですが、借金をするから相続税対策になるわけではなく、不動産を買うから相続税対策になります。たとえば、手持ちのお金が結構ある人がいたとして、手持ちのお金で不動産を買おうが、借金をして不動産を買おうが、減らすことのできる相続税額は同じです。相続税対策のために、無駄な借金をする必要はないのです。
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